満足度★★★★★
待望の再演という言葉はよく聞くが、心からそう言える稀有な公演だった。
舞台から客席から溢れ出した、あの暖かさはなんなんだろう?
馴れ合いや忖度や、劇場の大小を問わずなんとなく感じてしまうマイナスオーラが、どこにもない。
あるのはただ、優しい興奮ばかり。その場にいれば必ずプラスパワーを受け取れる。
これこそ演劇のレーゾンデートルではないのか。
センスある演出の元、スキルある役者たちが真心込めて歌う、それを支える実力ある製作陣・・商業演劇なら当たり前なはずなのに、最近は一流と言われる舞台でさえ水準に達していないものが多い。
そんな中、(たぶん)とても少ないstaffと予算(ごめんなさい)で造られたであろうこの舞台の完成度は凄い。
日本のオフブロードウェイなどという言葉もよく聞くが、内容が伴わない公演ばかりの中、これは本当に現出した
オフブロードウェイ水準の公演だった。
まず、翻訳された歌詞に違和感がひとつもない。さすがに英語版を併演できる訳だ。
着ぐるみも鬘もなし、だいの大人が目の前ほぼ素顔で演じていても、こちらも違和感なし。むしろ逆に物語に入り込んでしまう。
そして観終わった後に残る開放感と希望。なんという演出の妙。
願わくば、年に一度、いや数年に一度でいいから再演を続けて欲しい。
この舞台を見るために、頑張ってもう少し生きようとおもえるから。