KUNIO15「グリークス」 公演情報 KUNIO「KUNIO15「グリークス」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2019/11/10 (日)

    ギリシャ悲劇10本を惜しげもなく舞台にてんこ盛りして魔改造… 戦争/殺人/神々の3部9幕の構成、公演時間10.3h 幕間休憩アリで上演正味8.1h。纏め方の上手さと小まめな休憩のお陰で、寝不足にも関わらず意外と無理なく完走できた。30名近い手練れの役者が次々と披露する演技… 上質なそれが居並ぶだけでも格別な時間を過ごせたし、幕毎に全く別の作品を思わせる演出の切り替えによる新鮮さは、とても10時間もの長編芝居を観ている感覚ではなかった、驚き。

    そして何より話を観ての感想にも触れたいのだが 11月下旬にKAAT公演を控えている作品なので、私だけが思い出せる程度に、ふわっと感想を。

    神々に翻弄されるていをとりながらも… 神のせいとばかりは思えない欲望と愚行… それを飾り立てる甘美な言葉から…反して湧き立つシニカルさ。そして至る復讐の大連鎖から感じるモノは、それらは人間の性(サガ)以外の何モノでもない。何と言っても悲劇のオンパレード… これでもか、これでもかと積み重ねることでその性の説得力を増していく。

    そもそも …私の認識ではだが… ギリシャ神話の神々自身が非常に人間っぽい愚かさを表す存在なので、まさしく写し鏡この神にしてこの人間あり…という印象はどんどん強まっていく。

    むしろ… 神々の存在に人間の世界の何を映し見るかで、この物語に思い浮かぶ絵は様々に変わりそう。物語の登場人物でも…観客であっても、人は神々の言葉に自らが見たいモノを見るものだ… という印象も強くした。特に前半で思ったことだが、現代の価値観に照らせば「全てが理不尽な行い」の数々なのだが、晒される理不尽が何であっても、民衆意識… 民衆の反応はあまり変わっていない気もした。
    そして特に女性はどんな気持ちでアレを観るのだろうか…などと想いを馳せた。

    その見立て次第で今尚通じる「他人に対する傲慢さ」に映るよなぁ。そしてその対極として…あまりの諦観に… それを脳内合理化して卑屈に自分を納得させる… そうするぐらいでしか生きていけない辛さも、今なお色褪せぬ現実だ。

    そして一方… 「神ありきの世界観」で話が展開するのかと思いきや、意外に「神の存在そのものを疑う台詞」も度々出てきて、私でも共感できる切り口で神が語られるところがあるのは嬉しかった。

    … なんて感じていると!、突然に飛び道具が飛び出したりして… 彩る「演出」と「言葉」が実に多様、気安く信じると結構いい感じに裏切ってきます笑。色んな話が混じっている故でもあるのか、作品の中の何かを解釈の拠り所にしようとすると…

    「ばーか、ばーか、頼ってんじゃねーよ、自分で考えろよ、自分で決めろ。」

    って、ひらりと躱してドーンと突き放してくる感じもあって、一筋縄ではいかない。これも人生の…社会の縮図か。

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    2020/01/08 22:38

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