満足度★★★
鑑賞日2019/09/22 (日)
4月の「青年と死 [春]」を継承しつつ… より現代アート… インスタレーションの趣きが強まった。
印象としては… 原作「青年と死」をバラして各所に散りばめた… 一種のコラージュかな。芥川龍之介の原戯曲をとても効果的な構成にアレンジして、観る者にじっくり浸透してくる感触。小道具の見立ても実に良い。
そして何より女優陣の醸す雰囲気が… 妖しくも美しく… 狭い劇空間に密度濃く全方位に漂う。かなりグッとくるものあり。 観るというよりも… この場に浸りながら… 原作の原意をどう孕んでいると読み取るべきか…と思索を巡らしたが、これはかなり観る者の感性に負うところが大きそうだね。
私自身、作り手の思惑に対する疑問や妄想とかが生まれては消えたが、独力で落しどころを探そうとすると難しいねぇ。勿論、そんなことを一切考えずに楽しめる様にもなっている。女優陣の醸す妖しくも美しい佇まいは、原作テキストの枠をはみ出して… 各々が生ける作品の様に会場を徘徊する。まるで生態観察する様な面白味も湧きました。
理解せずとも楽しめる雰囲気は実に現代アート的… とても自由だ。 本作は今後を含めて4会場を彷徨うのだが、1会場の中でも彷徨っている感覚があり…さしずめキャラバンの様相。妙に日常感がこぼれる時もあって、全般的に結構自由に振る舞っている気がするが、その空気を律するキッカケ音とその直後の女優の振る舞いの緊張感がとても印象に残っています。どんな風に観れるのか… 観るべきか、迷う人もいるかもしれないけど、観る側もかなり好き勝手に周囲を動いて観ることができますし、観る側が臆さなければ、かなり間近でも観れます。
2時間超 滞在したけど、もっと居たかったし、別の会場でどんな見え方になるのかは興味を湧かせてくれました。