満足度★★★★★
舞台には通路らしきスペースをセンターに、2つのマンションルームが。
開演前、ここにどんな人が住んでいるのか想像してみるのが楽しい。
事前に内容を知らされていないのもあり、様子の違ったこの2部屋で一体何が起こるというのか、自ずと期待が高まります。
そうしての開演。
目の前(舞台)で繰り広げられたのはストーリーというより生活の営み。
2つの生活者、両者の交流は無いものの同じ時間を歩んでいるのは明白であり、観進めるほど自然に読み取れてくるそれぞれの人柄や事情。
不安定なモノは風が吹きつければ揺れるがごとく、観ている者の心をざわつかせます。
このままだと、いずれ倒れてしまうか折れてしまうか、何か悪い事が起きる予感しかしないし、もどかしくも風を受ける弱者の声は誰にも届かない。
あぁせめて子供には・・・もう思わずこっちが声をかけたくなってくるほど
“声”というキーワードが出てくるとき。
一方ではカラカラに乾ききった喉に優しい水が沁みわたっていくように、
また一方では弱った身体に冷たい刃物がとどめを刺すように。
鼻がツーンとしてくる。
しっかりと気持ちが伝わってくる舞台。
なのでストレートに哀しく、辛かったりもするのですが、幸せな気持ちが滲み出てきます。
具体的に何がこの幸福感を生み出しているのか説明できないのだけれども・・・どうして、この幸福感、ホント不思議だ。