流れ星 公演情報 タクフェス「流れ星」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2019/11/13 (水)

    サンシャイン劇場にてタクフェス『流れ星』を観劇。
    待望の10年ぶりの再演。前身の東京セレソンDX時代の作品の中でも特に好きな作品で、再演を心待ちにしていました。当時は新宿シアターサンモールでの公演であったと記憶していますが、“笑って泣ける”作品に定評がある主宰・宅間孝行さんの作品の中でも、この『流れ星』は特に“笑って泣ける”をモロに体感出来る名作中の名作であると感じます。今回も終始楽しませて頂きました。
    物語の舞台は1970年の東京。自分自身はまだ生まれていない時代ですが、当時の家電や流行が舞台上に散りばめられていて、まずはそれを見るだけでもとても楽しい。タクフェスは舞台セットに対する力の入れ様が、他の団体よりも常にワンランク上をいっているように感じるくらい、毎回お見事過ぎる芸術的な舞台セットを組まれている印象を受けます。そしてストーリーは文句の付けようがないくらい素晴らしい。ちょこちょこと登場する細かい小ネタは、後にとんでもない伏線回収に繋がったりするから驚き。今回もその仕掛けが幾つもあり、やはり『流れ星』は改めて観ても感動するし、本当にお見事な作品だなと再認識しました。
    熟年離婚を考えていたくらい冷めきっていた夫婦に突然訪れた夫の死。しかし、夫が内に秘めていたのは妻に対する純愛。妻がその愛情に気がつくのは夫の死後。何とも切ない背景がある内容の作品ですが、徐々に明らかになっていく真相の追求に、観る側は完全に物語の中に引き込まれ、作品が描く夫婦愛の奥深さに魅了されました。生きているからこそ、一緒に暮らしているからこそ不満を抱いてしまうことは多々あると思いますが、その時はその感情ばかりが先行してしまい、小さな感謝は忘れがち。しかしその感謝を伝えられるのは、相手が生きているからこそ。今回の作品は、そんな思わず忘れがちな実はとても大切なことを伝えてくれる非常に心温まるストーリー。作品の描き方がとにかくユニークで、的確で、観る側の心を大きく揺さぶる。何回拝見しても宅間孝行さんの創る作品は何と素晴らしいのだろうと感動が止まりません。個人的には前回出演されていたうつみ宮土理さん、山田まりやさんのイメージが強く残る作品でもありますが、今回の田中美佐子さん、飯豊まりえさんも前回のお2人に負けないくらいそれぞれの個性を生かして新たな世界観を出されていたと感じます。
    そしてタクフェスは舞台が終わってからもパンフレットを熟読する楽しみがあるのも素晴らしい。こんなに見応えのある充実したパンフレットを作られるのは日本でタクフェスが一番だと思います。著者の越村友一さんいつもありがとうございます。作品の見応えはもちろん、常に観客を楽しませようとして下さっている演者さん、スタッフさんなど、とにかく全てがエンターテイメントの一級品。長く続いて欲しいカンパニーだと思います。

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    2019/11/21 23:54

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