カリギュラ 公演情報 ホリプロ「カリギュラ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    とにかく重厚というか、先鋭というか、難しい芝居だった。カミュの戯曲がとてつもなく難しいらしい。カリギュラの難役に菅田将暉が、良くくらいついていたと思う。一幕は白い衣裳で、暴君にしては線の細い、少年っぽさがあったが、二幕になると深紅の分厚いマントをまとって、重々しい、冷酷な暴君を感じさせた。

    愛妾役の秋山奈津子がすばらしかった。愛と支配と服従と、どこかすべてを悟ったようなあきらめと。どこがどうすごいのか、表現しにくいのだが、とにかく舞台の上で生きているとは、ああいうのを言うのだろう。それと谷田歩もよかった。

    ネタバレBOX

    なぜ、カミュが猜疑心の塊となって、人々を殺すのか。断片的には分るセリフもある(「結局はどっちでもいいのだ」「早いか遅いかの違いだけだ」。「国庫財政が大変で金が何より大事なら、人の命などどうでもいいではないか」)。しかし、全体通すと、ああ言ったり、こう言ったりで、よくわからないし、聞いているだけなので覚えていられない。しかも、最も忠実な愛妾さえ、最後は殺すのだが、これなど、どういう心理かさっぱり。

    一方で、謀反を計画しているとわかっている若者には、話の相手をさせて、逃がしてしまう。冷酷無比になり切れないところもある。その複雑さがすごいのだろうが、それにしてもわかりにくい戯曲である。

    このわかりにくい芝居(途中、本当にいびきを立てる人もいた)に、終わった後は4度もカーテンコールがあって、最後はほぼ総立ちの拍手。ファンというのはありがたいものだ。それにしても、3度目で立たず、4度目まで引っ張ったのはなぜだろうか。

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    2019/11/19 09:28

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