満足度★★★
2011年7月にノルウェーで一人の犯人が2か所を移動して77人の連続大量殺人事件を起こした。イギリス人の作者はラジオで聴いたこのニュースが頭に残り後に本戯曲を書くこととなった。ということだが、事件は全く異なる設定に書き換えられていて、ほとんど無関係である。
大震災直後で関心が薄かったのだろうかこの事件は私の記憶にはなかった。簡単な予習をして行ったが、そのために演劇的な作為というか作り物感が目立って感じられた。とはいえ無の状態で観れば意味不明の時間が長く続くことになっただろう。こういう実際の事件を基にしながらいろいろ異なった点がある戯曲というものをどうとらえて良いのかがずっと分からないままだ。
小久保寿人さんは嫌味なくらい上手く、犯人や精神科医など多数の人物を演じ分ける。30人の合唱は老若男女混じり合い、外国人の方もいて、多様性を象徴している。冒頭の「グリーン・スリーブズ」はなかなか聞かせてくれる。そういうところは良いのだが。