負けてたまるか! 公演情報 アイビス山村組「負けてたまるか!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    街の便利屋を舞台に青春期の苦い思い出、老年期の不安な思いを描いた2本立て公演を観ているようだ。消せない「過去」と描けない「未来」...その傷ついた心を奮い立たせるヒューマンドラマは熱い。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    舞台はある街にある便利屋「かけつけ隊」。引っ切り無しにかかってくる依頼の電話は、高齢者の話し相手からペットの散歩など日常の様々なこと。セットはその便利屋の事務所兼住宅といったところ。上手側に和室、中央奥に窓、手前の客席側に応接セット、下手側に事務を行う横長テーブルや電話がある。

    物語は、色々なエピソードを盛り込み、伝えたいテーマが暈けて弱くなったように思え少し残念。42年前の高校時代の同級生を探してほしいという依頼。高校は奈良県にあるというが、お金になれば遠くても、ましてや探偵業でもないが引き受ける。そこには高齢(便利屋は62歳の女社長・姉妹、弟で経営)になっても逞しく強かに生きていく姿が描かれる。物語の底流には、どんな時にも「負けてたまるか!」という熱き生命力を訴えた話が本筋。
    それと身寄りのない高齢者ゆえに住む家がなく、ネットカフェを転々とする初老女性の哀切に纏わる話が脇筋かと。これらの話に笑いネタとして地下アイドルや便利屋の女社長の夫の浮気、放蕩といったゴタゴタを挿む。これらが効果的に繋がらないため、それぞれの話が面白いにも関わらず平面的な印象になったのが勿体ない。

    奈良県・信貴高校23回生の5人が便利屋で会うことが出来た。目的は、その中の1人の女性が高校卒業間際に亡くなった旧友を偲ぶため。同時に亡くなった原因が犯罪性のものか事故死なのか確かめるため。死はその思い出さえも無くなった時が本当の意味での”死”かもしれない。彼女以外は、当人はもちろんその家族も地元に居づらくなり転居したが、それが更に怪しまれる結果になった。少し短絡的と思われるが、映画や芝居で観かける天変地異的な不思議な出来事で真実を知ることが出来るが…。

    大衆喜劇といった展開の中に、還暦を迎える頃迄気に掛かっていたことを確かめる、そこに人生に悔いを残したくないという思いが滲み出る。また年老いての根無し草の悲哀、同時に便利屋の世話人情を描くことで明日も元気に生きようという活力が観えてくる。そんな心温まる公演であった。役者は総じて年配者が多く、その意味でまだ演じられる、そんな”負けてたまるか!”といった気概が感じられる。そして公演は誰が観ても分かり易く楽しめる内容で、そこには”観てほしい!”という自負を思わせる。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2019/11/17 22:52

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  • メグミ さま

    コメントありがとうございます。
    実にハートフルな芝居、楽しませていただきました。同時に生きることの大変さと面白さも実感することができました。
    機会があれば、また観劇させていただきたいと思います。
    本当にありがとうございました。

    2019/12/01 23:58

    遅くなりました。

    この度は有難うございました!
    宜しければ、また来年もご観劇ください!

    2019/11/30 18:30

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