満足度★★★★★
鑑賞日2019/11/09 (土) 13:00
座席E 列3番
2019.11.9㈯ PM13:00 中野BON BON
天皇陛下御即位をお祝いする『国民の祭典』を夜に控え、何処か浮き立つ空気の中、中野BON BONへとSetsukoさんが出演されていた劇団6番シード『なまくら刀と瓦版屋の娘』を観に足を運んだ。
目の前に広がるのは、瓦版屋の店先。
舞台は、華のお江戸のちょっと北、日光と江戸を繋ぐ宿場町にある気風の良さで評判の看板娘お紙のいる瓦版屋。
笑顔の良い、器量良しのお紙には、毎日引きもきらずに縁談が持ち込まれるが、お紙は瓦版の特ダネ探しに夢中で、嫁に行く気は更々なく、毎日お江戸の町を走り回っているそんなある日、遊女が失踪したという話がお紙のもとに持ち込まれるのと時を同じくして、謎の浪人が瓦版屋に籠城した事から始まるすったもんだのドタバタ喜劇。
同日同時刻、瓦版屋の正午からの1時間の店の表の騒動と店の奥座敷で起こった騒動の両面を休憩なしの全二景で描いて観せる同日同時刻同時進行の舞台は、今まで観たことの無い面白い趣向に、二景目が始まった瞬間、上手い運びと展開に胸高まり、心踊った。
頭から尻尾まであんこの詰まった鯛焼きのように、笑いがギュッと詰まって、笑いっぱなしの2時間は、瞬く間に過ぎて行き、2時間という時間を感じさせない舞台。
因業に見えた遊廓の女将と用心棒が、何だかんだと言いつつも、心の底では、失踪した遊女に情を掛けていたり、遊女と生き別れた浪人との再会にほろっとしながらも、明るく、笑いに満ちた舞台は、胸の中にも身体の中にも暖かな陽が射し込み楽しい気分に満ちて劇場を後にする事が出来た。
笑いと人情がたっぷり詰まった、観ればたちどころに元気になれる舞台だった。
文:麻美 雪