浅草福の屋大衆劇場と奇妙な住人達1982 改訂版 公演情報 東京アンテナコンテナ「浅草福の屋大衆劇場と奇妙な住人達1982 改訂版」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    典型的な人情劇...観ていて安心するような展開は、老若男女問わず楽しめるもの。
    「昭和人情ホラーコメディ!!」乞うご期待...という謳い文句通り、観応え十分な公演であった。
    (上演時間1時間50分)

    ネタバレBOX

    1982 年(昭和 57 年)頃の浅草にひっそりと建つ大衆劇場での物語。冒頭はその劇場で上演している股旅物のような劇中劇の場面から始まる。この劇中劇と本編が繋がり出し、単にユーモラスな描きだけではない面白さが繰り広げられる。この公演が紋切り型の感傷劇に陥らず、かと言って真面目でもふざけるでもなく絶妙のバランスで夫婦、親子の情愛を描く。そして随所に挿るギャグが物語を微笑ましくさせる。

    梗概…劇場支配人と義理の娘、さらに地縛霊がいる大衆劇場は、長年庶民の娯楽場としてにぎわっていたが、近年では漫才ブームのあおりを受け客足が途絶える一方。そんなある日、人気の劇団松沢一座がこの劇場を救うべくやってくる。「これで劇場はどうにかなる」と思った支配人や娘たちであったが、一座の看板役者が「一座を辞める」と言いだした。この劇場と一座、そしてみんなの運命は一体どうなるのか。

    笑って泣かせる人情劇の王道のような公演は、理屈抜きに楽しめる。事情あって娘を置き去りにした母、捨てられたと思った娘、その娘を育てた劇場主などが織り成す本筋、それに大衆演劇の松沢一座の劇中劇として興行している脇筋を絡め厚みのある物語に仕上げている。経営不振、一座の看板役者の退団など誰もがピリピリしそうな出来事、そんなこわばった雰囲気をユーモア溢れる会話で笑いとばす。

    無関係と思われた人々が次第に繋がり、なぜこの地(劇場)の地縛霊になっているのか。生ある人と地縛霊、その可視と不可視を同居させることで人生と人と人の触れ合いや繋がりを表現している。同時に時の経過を哀切・ユーモアを通して表現することによって暮らしと社会諸相を表わしている。その人情味を支えているのが下平ヒロシ氏とイジリー岡田氏の地縛霊(軍服・芸人風という衣装に意味あり)による漫才風会話。ラストは親子の情、地縛霊の昇華として結実させる見事な幕引きであった。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2019/10/26 19:25

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