満足度★★★★★
鑑賞日2019/10/13 (日) 14:00
2019.10.13㈰PM14:00 池袋シアターKASSAI
今までで、最大の台風とも言われた台風が過ぎ去り、電車の運休や遅延の影響で、新宿も池袋も人出が少なく、デパートやお店も軒並みお昼過ぎからの開店で、シャッターの降りる静かな街並みを、台風一過の照りつける太陽を背中に、秋風を踝に感じながら池袋シアターKASSAI に松扇アリス第一回公演『オヤジインデッドリースクール』を観る為に足を運んだ。
13時開演を1時間遅らせての開演。
1週間前に同じこの場所で、全て女性で演じた『オトナインデッドリースクール』を観た。『オヤジインデッドリースクール』は、その男性版。内容は、『オトナインデッドリースクール』の観劇ブログを読んで頂くとして、『オトナインデッドリースクール』で、書かなかった事を此処では書いて、『オヤジインデッドリースクール』の感想としたい。
『オトナインデッドリースクール』と『オヤジインデッドリースクール』を観て、一番胸に残ったのは『2度目の未来』という言葉。
ずっと昔、人生は30年だった時代から見れば、今は平均寿命が延び、約90年。つまりは、3度の人生が生きられると考えたら、3度の未来があると考えられる。
だとしたら、一度や二度挫折したって、2度目の未来、3度目の未来で自分の望む事、行きたかった生き方が出来るということ。
登場人物やたちも、お笑い芸人から市役所の職員になり、また、お笑い芸人になりたい者、本当は歌手になりたかった市長、正に2度目の未来でイラストレーターから漫画家になった者など、2度目の未来の只中にいる者、2度目の未来に踏み出そうとしている者、2度目の未来を夢見る者たちだ。
そして、この舞台を観る私もまた、2度目の未来の只中にいる。幼い頃から作家になりたくて、生きるために作家とは関係の無い仕事に就き、ブログがきっかけで、まだ派遣社員との二足の草鞋ではあるものの、主に舞台について書くフリーのライターとして、幼い頃から願っていた文章を書く仕事をして2度目の未来の只中で生きている。(今年は更に趣味で作っていたハンドメイドの発注も受けハンドメイドの仕事も細々始まった)
人には3度の未来がある。
ユウ(布施 勇弥さん)だけが生き残ったこの世界にも、もしかしたら2度目の未来の世界があるのではないだろうか。
この1度目の世界では、ゾンビに噛まれ亡くなった者たちも、2度目の未来の世界でユウは会う事が出来るのではないか、そうであって欲しい、そうであると信じたいと思いながらこの舞台を観た。
『オトナインデッドリースクール』とは、男女の違いだけでなく、また違う面白さがあった。最高のオヤジたちに笑わされて、泣かされた舞台だった。
文:麻美 雪