boy be... 公演情報 ミュージカル座「boy be...」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2019/10/13 (日)

    六行会ホールにてミュージカル座『boy be...』を観劇。
    毎回ミュージカルナンバー盛り沢山で、老若男女誰もが楽しめる分かりやすくて説得力のある良質な作品創りをされている印象を受けるミュージカル座さん。個人的には『アワード』以来、1年ぶり7回目(7作目)の観劇でした。
    今回は「役立たず」と罵られるダメロボット《Be》の成長を描いた作品。近年のロボット産業の発展は目覚ましく、今まで人間が務めてきたことをロボットがやる時代になってきましたが、Al(人工知能)の技術などが進化しているとは言え、やはり所詮は機械なので、一つ一つのやり取りは無機質と言うか味気無さと言うか、形式的なものにしか過ぎないのが現状だと感じます。でもこの作品では、そんなロボットに人情味のある生きた感情を加え、人間側からだけでなく、ロボット側から見た世界を描いている作り方が面白く興味深いと感じました。何だろう、ドラえもんの世界に近いような。。?ドラえもんもネコ型ロボットとして人情味溢れるキャラで愛されていますが、今回の作品に登場するbeも似たような雰囲気を感じました。
    そして人間とロボットの違いと言えば、やはり生命の問題。ロボットは仮に壊れても修理すれば再始動可能ですが、人間となると多少の延命は出来てもいつか必ず死が訪れる。だからこそこの作品の中で登場する「生きている時は魔法の時間」という言葉はとても印象的で心に突き刺さりました。魔法の時間を過ごせている今には本当に感謝しなければならないですし、当然それを思うなら生命を脅かすような争い事は絶対に排除すべきとも改めて感じました。でもこの作品で面白いのは、前述の通りロボット側にも感情を入れている点かなと思います。どれくらいの時間経過をイメージしている作品なのかは分かりませんでしたが、共に生きてきた人間が次々とあの世へ旅立っていく中で、ロボットbeだけは動き続けている様子は、今まであまり考えたことがなかったような感情を掻き立てられたような気がします。自らのスイッチを切って欲しいと訴えるクライマックスシーンは切なくもあり感動的でもありました。まさに「お疲れ様、Be。」という感覚です。最初カタコトだったbeの話し方が、最後には流暢になっていたのも印象的だったなー。
    また、本来はロボットが人間の動きをするような進化が必要ですが、最近は人間自体がロボット化しているのではないかと感じたりもしました。人間にしか出来ない様々な経験や感情表現も大事にすべきだなとしみじみ。
    今回もさすがミュージカル座さんと思わせる素敵な作品。ストーリーはもちろん、ミュージカルナンバーの豊富さと美しさ、華やかさなど、どれを取っても非常に満足度の高い作品でした。一人で何役もこなす演者さんの器用さも素晴らしいと感じました。元アニー役の栗原さんをはじめ、個人的に大好きなミュージカル『アニー』の経験者も多く出演されていた点も嬉しさがありました。

    0

    2019/10/14 23:50

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大