ビニールの城 公演情報 劇団唐組「ビニールの城」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ネタばれ

    ネタバレBOX

    唐組の『ビニールの城』を観劇。

    今作は1985年に、唐十郎が「第七病棟」に書き下ろした伝説的な作品。
    閉館した浅草常盤座での公演を観たのは、もうかれこれ34年前だ。

    記憶は定かではないが、「第七病棟」の公演では、ビニールの城に閉じ込められたモモ(緑魔子)側から濃く描かれていたが、今回では腹話術師・朝顔の煮え切らない女性への男の弱さ前面に出している。

    今作は「第七病棟」の為に書かれている戯曲なので、モモは緑魔子が演じるのが前提で、女性からの男性への強烈な愛のアプローチが主で、行動的で、直接的だ。
    だが今作では、あの緑魔子はいない。
    その代わりを演じた藤井由紀にもの足りなさを感じてしまったのは、彼女の役不足ではなく、演出の狙いで、女性側からではなく、男性側から描いた点だ。
    石橋蓮司の演出と比較してはいけないが、やはり当時と同じ様なものを求めるのは、観客としては必然である。
    それはあまりにも傑作であったからだ。
    それと同じ様な事を感じた「ふたり女」も同様だった。
    (やはり唐十郎が第七病棟の為に書き下ろした戯曲で、後日、唐組が公演している)
    ただ比較する事は別として、この戯曲を男性側から描く事には成功していて、大半の男性客は、朝顔に感情移入してしまい、出来の良さを保っている。
    それに演出が久保井研に変わってから、男女の秘めた愛を、ロマンチックに描き、戯曲の奥深さを追求しているのは、唐十郎の頃とはまた違った、紅テントが観れている事は確かである。

    今回は稲荷卓央が久しぶりに戻ってきたからか、この様な展開になっと思われるが、「第七病棟」への書き下ろし戯曲はまだまだあるので、緑魔子バージョンならず、藤井由紀バージョンを観たいと思うと、紅テントファンは思っているのである。

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    2019/10/12 15:48

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