満足度★★★★★
鑑賞日2019/09/13 (金) 19:00
いろいろなユニットで何回か上演されているらしいが、初めて観る戯曲。極めてタイトな95分だった。軍事政権下で反政府運動をしていたジェラルド(堤真一)は、同じく反政府運動をしたために拷問されレイプされたことがトラウマになっているポーリーナ(宮沢りえ)と結婚しているが、新政府の人権調査委員に選ばれたために、妻のトラウマを表に出すことができない。ある雨の夜、車の故障を助けてくれた医師ロベルトを家に招くが、その声を聞いたポーリーナはロベルトこそ自分をレイプし続けた男だと気づく…。ロベルトを縛りつけ復讐を遂げようとするポーリーナと、無実を訴えるロベルト、ポーリーナの暴挙を止めようとするジェラルド、という三者三様の言葉の応酬の後、全く予想できないエンディングに向かうために、疑問が残り、多様な解釈が可能な戯曲は、まずすごい。そして、役者陣が機関銃のように台詞を放つのも見事だ。ただ、演出の緒川はやや抑制的な演出をしているように見え、そのことの評価は難しい。