満足度★★★★
タイトルの「革命」…一般的にイメージする体制権力、組織構造の社会変革といったことを思い描いていると肩透かしだろう。どちらかと言えば、自己変革もしくはそう試みた青春群像劇といった印象である。観終わった後、ある芥川賞受賞小説を連想した(関連は無いのだが何故か…)。
本公演は1980年頃が背景であろうか。そして小説は1964年受賞だから芝居よりも約20年前の時代、まだ学生運動が行われていた頃の作品である。
公演は、何事も真剣に真面目に考え行動しようとした80年代の高校生。もっと青春を謳歌した生き方ができたであろうと思えないこともないが…。「革命」を叫びながら、何かを変革したい、しかし具体的内容を問われると曖昧になる。「漠然とした理想」と「判然とした現実」の気持ちに揺れ動く青春ドラマは少し切ない。
公演では「外の世界に出てみたい」という台詞が何回か聞かれるが、小説にも「人は、自分の世代から抜け出ようと試みることさえできる」という主人公のシニカルな台詞があったと思う。その意味で「革命」=「挑戦」とも思えるような公演は好かった。
(上演時間1時間45分)