さなぎの教室 公演情報 オフィスコットーネ「さなぎの教室」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2019/09/01 (日) 14:00

    “君臨するピンクのスキップ”
    2002年、当時世間を騒がせた看護師による保険金殺人事件がベース。
    主犯格ヨシダの強力なリーダーシップ、というか押しの強さが
    事件を牽引していく。
    女装の松本哲也さんに違和感はなく、むしろヨシダの暴力的なまでの
    “支配欲”が醸し出す男性性(?)にピタリとはまった感じ。

    ネタバレBOX

    舞台を挟んで対面式の客席、白いボックス型の椅子だけが数個置かれている。
    片側に、舞台をハケた役者が座るスペースが薄い布で仕切られている。

    看護学校で共に実習に励んだ4人の仲間。
    彼女らの夫は順番に死んで、妻が保険金を受け取っていく。
    やがてメンバーの一人の母親にまで凶行が及んだ時、
    ついに事件は白日の下に晒される・・・。

    物語は、ヨシダの強烈なキャラによってブルドーザーの如く展開する。
    貧乏な育ちを嫌悪し、それを金持ちになる権利へとすり替えるヨシダ。
    看護学校の仲間が夫に不満を抱いていることに目をつけ、
    良き理解者を装って言葉巧みに復讐を正当化し、4人で実行していく。
    そして多額の保険金を手に入れる。
    医療の知識を駆使した方法で次々と成功を収め、
    ヨシダは高級マンションの最上階に住み、他の者は下の階に住むようになる。

    貧乏に対する嫌悪感や、金への執着、家族を道具のように扱うことなど
    ヨシダの自己の欲望を最優先するその価値観は、強烈でエグいほどだ。
    松本哲也さんのハマりっぷりもあって、その存在感があまりに強く
    他の3人がかすんでしまうのが難と言えば難だろうか。

    圧巻は後半、イシイの母親を襲う手順を確認するシミュレーション場面。
    鋭く指示を出す(命令する)ヨシダの声が緊張感を増幅させ
    女たちは煽られて本番さながらの攻防を繰り広げる。
    “練習”のはずのシーンが、事件の“再現”シーンになる巧さ。

    また4人の逮捕後、別居中だったヨシダの夫(朝倉伸二)が裁判で証言したり
    マスコミらしき人々の質問の答えるかたちで語る、
    あの演出はとても効いていたと思う。

    犯罪もののキモである“動機”がヨシダのそれに集中し
    ほかの3人のそれが弱くなってしまったことが
    この事件のいびつさかもしれないが、若干の消化不良を覚えた。



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    2019/09/01 23:52

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