満足度★★★★
乾いた空間に、夫婦の瑞々しい会話...そのギャップが不穏な雰囲気を漂わしているように思える。この公演の魅力は独特の演劇空間の表出にある。特に舞台美術があるわけではなく、素舞台に役者のパントマイムでその雰囲気を醸し出す巧みさ。乾いた感じがするのは、ストーリーテラーによる淡々とした語り、それが情況説明と同時に人間観察のようでもあり客観性を際立たせる。一方、夫婦の会話は瑞々しいがどこかよそよそしい感じがする。物語はサスペンス仕立てであるが、心象劇のようでもある。その色々な要素が混ざって独特な空間が…。この公演はどちらかと言えば見巧者向けのような気がする。
(上演時間1時間15分)