烈々と燃え散りしあの花かんざしよ 公演情報 新宿梁山泊「烈々と燃え散りしあの花かんざしよ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    夏の新宿梁山泊は『楽屋』で十分戴いた気持ちであったが、「もう一本」と欲かくのも人情で。二つの組合せを今一つ飲み込めずにいた所、「朴烈」「金子文子」の文字に気づき、書下ろしでなく過去作のチョイスだというのでこれは観ずばなんねでねが?と再びスズナリへ足を運んだ由。
    歴史上の二人の事を調べた事はないが随分前、行き合ったある日韓史専門の退職教授が「金子文子が面白い」と目を輝かせていた。その随分あと古書店で「金子文子」なる著書を見つけ懐かしく購入したが、頁を開かぬまま思い出の品のように本棚に飾ったままである。だが漠然とながら脳裏にあったこの人物の魅力を、舞台上に見ることが出来たと感慨深く劇場を後にした。
    水嶋カンナの陰にこもらないキャラとパンチの効いた「演技」が生き、屋台崩しと錯覚させるラストで新宿梁山泊の朴烈・金子文子伝が織り上っていた。
    マスカラをしない佐藤梟と子役との回想場面が、舞台としても金子文子のバックグラウンドとしても魅力である。物語上の「現在」即ち、出会いから「大震災~検挙~獄死」へと辿り着くまでの二人の人生の概略紹介では主に彼の仲間たちとのやり取りを通して朴烈の人と思想の輪郭を浮かび上らせる。難題に対処する立ち回りはまるで任侠芝居の主役の趣きで、温泉ドラゴンから起用のいわいのふ健が無二の朴烈の風情を作っていた。もっともこのキャラクターは(根拠はないが)史実とは離れている可能性が高い、とは思うが。
    公、世間に抗い悲劇的結末の内に終えた人生を、同じ思いを抱き続けた同志的愛の勝利としてシンプルに力強く描き出したこの作品は、二人が寄り添い続ける事を可能にしたもの、に目を向けさせる。

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    2019/08/23 04:17

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