二度目の夏 公演情報 森崎事務所M&Oplays「二度目の夏」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    前回の「いつも空を見ていた」が期待外れだったので、最初はパスしようかと思っていた。しかし、先に見た観劇仲間がすごくよかったというので、急遽チケットを入手。たしかによかった。夫婦とその友人の三人を中心に、男女の間柄の微妙な揺れを丹念に描いていく。

     何不自由なく育った若社長の田宮慎一郎(東出昌大)が、新婚の妻いずみ(水上京香)と暮らす別荘。スマートで嫌みのない慎一郎なのに、なぜか、いずみには少し距離がある(これが大変微妙な距離で、普通には優しい夫にしか見えない)。いずみの遊び相手に、慎一郎は後輩の北島(仲野太賀)を頼んでいる。先代からの女中の落合(片桐はいり)は、北島といずみの近さに気をもむが、そういう落合を慎一郎は、北島を侮辱するものだと一方的に批判する。

     そこに、エキセントリックな秘書の上野(菅原永二)が、若い女中の早紀子(清水葉月)につきまとう副筋がからみ、落合に付きまとう地元の電気屋の松本(岩松)が端役でコミカルさを付加する。慎一郎のスマートさの裏には経済的裕福さの優越感もあることが、北島や上野との関係からほの見えるのも、深みを増している。

     登場人物は7人。昔、若い平田オリザが岩松了の舞台を見て、自分の「静かな演劇」の道に確信を持ったと書いていた。確かに、何気ない会話を続けながら、秘めた何かを示唆するところは似ている。そして、なにより、人物の出入りによって、北島といずみ、いずみと慎一郎など、舞台上の人物の組み合わせの変化を、劇作上の推進力に使うところが一番似ている。

     片桐はいりの少々オーバーアクション気味の演技が、舞台を活気づけて、笑いを巻き起こしていた。それがくさくなく、自然体に見えるところがさすがである。
     慎一郎と落合の会話から、先代の夫婦が冷え切った関係にあったことがわかり、それが意外な結末につながっていく。はっきりとは描かないが、観客に何かを想像させる絶妙のラストだった。

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    2019/08/13 12:05

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