涙目コント 公演情報 MONO「涙目コント」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    前川氏のみ既成作品、横山・平塚両氏が書き下し、短編を入れ構成した土田氏と合わせ、四名の作者による「屋上」で展開するドラマ。企画に惹かれて観た。
    やや時代がかった6階建て雑居ビルのさほど広くないリアルな屋上が、星のホールに組まれ、互いに関連しない人物が出て系統の異なる芝居をやる。同じ装置を別物として使い回すのでなく、同じ(ような)ビル屋上(一般人が入れる設定)として使われており、その点では趣きのある写実的な装置が用意でき、それでいて多様なドラマが展開するので不思議な感覚である。

    ネタバレBOX

    私の初イキウメ(前川)が今回の作を含んだ短編集で、他がどういう話なのか楽しみであったが、程よくバラけていた。
    平塚戯曲は別役実の域に近づいたかに思わせる台詞運びの巧さ、自然さ。横山作は既に別れが決まった男女の一方がギリギリ粘る中の微妙な変化を魅せる台詞劇。土田は構成に合わせて中短編にショートショートとうまく書き分け脂の乗った作家の仕事。最後にじんと来るコントという事だったが、土田作のラストにその場面が一瞬訪れたのみで、他はドライに笑える話だったのは私には良かった。
    時代が見える話がいい。平塚作の人物の自己評価をめぐるやり取り、人間の奇異な思考の背後に社会が透けて見える。横山作には男女の力関係の崩れを最初見ていたが次第に一時代前の男の自意識が原因と後付けで見えて来る。「言わない」女に後から理由を言われる男が哀れでもあるが、演じる二人がうまくバランスを作っていた。切れ味では前川作だが「知らない世界がもしかしたら・・」というワクワクが持ち味。笑いで毒のないものは個人的に据わりが悪く、土田作がいまいちぐっと来ないのはウェルメイド志向なせいだろうか。

    0

    2019/08/04 03:55

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大