チック 公演情報 世田谷パブリックシアター「チック」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    映画にもなったドイツのベストセラーの舞台化。退屈で友達もいないマイク(篠山輝信)と、ぶっきらぼうなロシアからの転校生チック(柄本時生)。チックが盗んだ自動車ラダで、夏休み、ふたりは旅に出る。篠山は、昔Eテレ「しごとの基礎英語」で英会話に苦労する新人社員役を毎週見ていたので、懐かしかったし、気弱な少年を好演していた。2時間45分(休憩15分)だが、長さは感じなかった。

    ほかの方は大変評価しているのだが、私はあまり乗れなかった。場所はどんどん変わるので、舞台は最低限の簡素な装置で、後の説明はマイクの語りでずっと通していく。麦畠の映像や、劇場の天井を使った星空などもあるが、私には案内役のマイクの語りがうるさかった。ロードムービーという舞台にしにくいものを舞台にする工夫だが、やはり舞台に乗り切らなかったものが多すぎた。でも、ドイツではこの舞台が人気で、シェイクスピア以上に何度も各地で上演されているというのだから、不思議だ。おそらく生徒向けの学校公演ではないだろうか。

    場面場面にいいところはある。チックが秘密を告白する場面や、ラストのプールの場面など。それでも私が乗れなかったのは、結局父は破産で母はアル中の、うだつの上がらないマイク少年に感情移入できなかったからという気がする。チックはラスト近くまで、自分をさらけ出さないわかりにくい少年であったし。私が変にすれた大人だから少年の冒険に乗れなかったのか、狭い舞台に広々とした田舎をみる想像力の不足か、家庭の不幸や自意識過剰の解決はこんな簡単じゃないよと思うせいか。

    一緒に見た連れは「面白かった」「最後のプールがきれいだった」とほぼ満点の評価だったので、なぜ私が乗れなかったのかが引っかかる。

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    2019/07/28 10:18

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