命、ギガ長ス 公演情報 東京成人演劇部「命、ギガ長ス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    話題性のある公演だろうに「スズナリだし..」と理由なく油断していて気づけば完売。千穐楽を当日券に並んで観た。選挙結果に依っちゃ芝居にうつつを抜かす日々もそう永くはないぞ、と気もそぞろながら、敢えてそんな不安を拭ってくれそうもない公演を選ぶ天の邪鬼。
    1時間前のスズナリには二十人余りの列だったが入れた(当日券21枚、残りはキャンセル待ち数名)。足は痛かったがベンチ席で役者2名を舐めるように見た。体調悪く序盤に何度か気を失ったが、奇妙でフシギなスズキワールドを噛み締めた。

    ネタバレBOX

    松尾スズキ(大人計画)作品と言えばここ数年の間にサイズ大の劇場で三、四作を遠目に観た。大人計画の出自である小劇場色を離れたエンタメ寄りな舞台に、毎回不全感を覚えていたのだが、今回は変った趣向ではあるものの松尾スズキ的世界が間近で味わえた。
    学芸会仕立ての舞台で松尾氏と安藤玉恵それぞれの持ち味と演技術を動員したギャグがポロポロと零れ、反応素早く笑いに沸く会場に必ずしも共鳴しなかったが(何度か大笑いしたが)、やがて散らかされたネタが意外な仕方で回収され、底辺な人びととアッパーな人びとが底意地を晒しながらいつしか、彼らのしぶとさ、いじましさに光が当てられている。
    社会的弱者という概念の相対化は松尾作品の一特徴とは言え、今これをやるべきかと一瞬疑問がよぎったが、観ていく内に底辺の者らの手練さとアッパーな者らの愚直さという転倒が絡みあい、転倒しても尊厳ある個への屈折した愛情が場に満ちていった。
    実際は順序だたない構成や意表を突く展開で、何がどうなったか大部分記憶にないのだが。。
    小劇場でやり続けるべき演劇人のツラを二人の中に見た。二弾、三弾まではやって欲しい。

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    2019/07/22 12:58

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