第10回せんがわ劇場演劇コンクール 公演情報 せんがわ劇場「第10回せんがわ劇場演劇コンクール」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    せんがわ劇場が主催する演劇コンクールで、予選(書類審査)を通過した6団体によって競われた。40分間という限られた時間の中で表現することになる。コンクールは2日間にわたって専門審査員、市民審査員および全公演を観劇した観客の投票によって審査する。専門審査員がグランプリおよび劇作家・演出家・俳優の各個人賞を選び、市民審査員と全公演を観劇した観客の投票(持つ票数は異なる)によってオーディエンス賞を決める。
    今回のコンクールの特徴は、参加団体全ての公演がパフォーマンス系であったこと。この傾向(ここ数年は圧倒的にパフォーマンス主体)は、時間的制約が影響しているのであろうか?何となく見巧者向けで、演劇初心者には解り難いようにも思える。「演劇とは」という問いに正解はないかもしれないが、少なくとも観客が劇場に足を運ばなくては成り立たないだろう。多くの人に演劇を楽しんでもらうには敷居が高い内容に思えたのが残念だ。
    (上演時間各40分)

    ネタバレBOX

    7月13日(土)【1日目】
    ①キュイ(東京)『蹂躙を蹂躙』13:30~14:10
    ほぼ中央に電飾が吊るされており、椅子を次々倒す。チラシ説明と合わせると人を殴り倒す行為のようだ。そこには人の何とも言い表せない苛立ちのようなものが浮き上がる。不気味さは、何かが崩壊するような音響によって助長される。世界の崩壊、人の存在否定のなうなディストピアを思わせる。

    ②世界劇団(愛媛)『紅の魚群、海雲の風よ吹け』15:00~15:40 
    大人になるって...繰り返されるフレーズを定型と非定型を比較しながら展開する。身近な教師は教えているようで、実は肝心なことは教えない。一方、スマホなど身近な媒体の方が役に立つというアイロニー。女の子の悩みを母親とドーパミンという比喩で描く。外観は歌舞伎風のメイクや衣装、そしてキューブも隈取のような柄が目をひく。

    ③イチニノ(茨城)『なかなおり/やりなおし』16:30~17:10 
    茨城県愛を感じさせる内容。車が飛ぶ、人も飛ぶ、宇宙人が来るという夢物語。100年後の世界観と、何年経とうが変わらぬ故郷。その変わらぬ街には忘れたい事があり、強いて忘れたことにする。大胆な夢想の中に繊細な人の心、機微を描いた舞台。キューブを使用した上下運動が躍動感を生んでいた。

    7月14日(日)【2日目】
    ④劇団速度(京都)『Nothing to be done.』13:30~14:10 
    上手側に倒れるであろうことが一目瞭然な角材が立っている。そして倒れた時に当たるであろう花苗が舞台中央奥に置かれている。登場人物は男2人。1人は自分のからだの一部を指しながらもう1人の男に何かを訴えている。2人は言葉を交わすことなく、ラグビーのように体を押し付け合うだけ。何もない「ゴトーを待ちながら」を思う。

    ⑤ルサンチカ(京都)『PIPE DREAM』15:00~15:40
    「理想の死に方」について、様々な職業、年齢の人々にインタヴューという形式で描いたモノローグ。中央に滑車があり、それに自ら吊り下がる女性、その周りにいる男性の2人芝居。滑車に吊るされた不自由な体から、身体障碍者の生への疑問、一方生への渇望を感じる。現実逃避、夢と現実の狭間で揺れ動く”何”かを描く。照明の陰影が印象的だ。
     
    ⑥公社流体力学(埼玉)『美少女がやってくるぞ、ふるえて眠れ』16:30~17:10 
    グランプリ受賞。しかし正直、自分は好きではない。
    表層的には「第10回せんがわ劇場演劇コンクール」のファイナルに選ばれて、コンクール当日までの公演制作の過程を美少女という存在を介して朗読、漫談、1人芝居?として面白可笑しく展開。単に分かり易いだけという印象。

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    2019/07/19 12:43

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