ものがたるほしのものがたり 公演情報 激弾BKYU「ものがたるほしのものがたり」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    未見の劇団。来(2020)年には創団35周年を迎えるという歴史ある劇団。
    さて、本公演は七夕と2020東京オリ・パラを絡めたハートフルコメディ。時節にあったテーマ設定であるだけではなく、登場人物のそれぞれのキャラ、抱えた苦悩等を描きながら物語が展開する。時にファンタジーとして見せつつ、現実をしっかりと突きつける、その妄想と現実を交互に観せるが交わることはない。強いて交わるとすれば、この街に住んでいる爺さんだが…。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    セットは、上手側に2020東京オリ・パラで立ち退きを迫られている街角にあるパブ「パパスママス」。戦前からある店はレンガ作りで、レトロな看板や窓ガラスから明りがこぼれる。下手側は坂になっており街路や山頂をイメージさせる。その後景には高層ビル群が立ち並び、夜は星々が輝くような演出。公演全体を通して照明効果が上手く、現実世界と七夕モチーフの区別がしっかり行われている。

    物語は立ち退きに反対する店の人や常連客、立ち退きを迫る役所との対立。とは言っても喜劇ゆえ緩いバトルらしきもの。一方、七夕というファンタジックな物語、それを天界を取り仕切る”西王母娘娘”の登場や織姫が輪廻転生するというスパイラルとして描く。しかしそれは現実世界と接点があるような無いような曖昧な展開である。唯一あるとすれば浮浪者である彦星ジジィの妄想か。
    物語は、この界隈を取材するノンフィクションライターの目を通して見た人間模様と彦星ジジィの戯言を交差して紡いでいるが、2つの劇を観ているような感じがする。人々は彦星ジジィの姿を見ており、戦前の生まれでこの地に来るまでの経緯を調べた結果を報告する場面もある。しかしラスト、彦星ジジィの存在自体居(経歴も)なかったという台詞に戸惑う。敢えてファンタジー性を持たせようとしたのか?

    現実の世界は、2020東京オリ・パラの繁栄とこの街のように立ち退きを迫られる明暗。立場弱き人々、そしてパブで働くオカマとオナベという性少数者、独特な立ち位置の神社の神主など個性豊かな人々が紡ぐ心温まる物語は心が洗われるようだ。同時に芝居的には先にも記した彦星ジジィの妄想話がうまく絡まず中途半端な印象で勿体なかった。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2019/06/18 18:35

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