満足度★★★★
鑑賞日2019/06/17 (月) 14:00
座席1階
古里の海の幸で生活してきた漁民たちが、工場排水の有機水銀で手足が不自由になって死んでいく。この理不尽な水俣病の舞台化に真正面から挑んだ。
栗山民也の演出が見事だった。手前に漁師の家のお茶の間を配し、3段ほどの階段を舞台を左右に切って堤防のように置き、背景の海や空を表現した。静かな波の音がずっと流れているのも、平和そのものだった漁村をうまく伝えていた。
1時間半ほどの凝縮した舞台に、次々に病いに倒れる家族、チッソによる分断工作、そして裁判に訴える流れが分かりやすく配置されている。佐々木愛ら高齢俳優がしっかりと若手をリード。淡々とした雰囲気だけに、残酷な現実が痛いほど伝わってきた。力作だ。