満足度★★★★
鑑賞日2019/06/14 (金) 19:00
座席1階
アインシュタインが出てくるわけではない。日本各地を講演しながら休日を楽しみその地元と交わったというエピソードに着想を得て、天才科学者を見つめる大正時代の庶民を描いた。
対話劇に定評のある吉田小夏の作品で、楽しみにして出かけた。パン屋の家族、居候の書生、軍人、女郎あがりの女中。さまざまな人たちのエピソードが交錯する。アインシュタインの相対性理論の本を買ったものの難しくて納戸に放り出した家長のお父さんが、その本を読みたいと願い出た娘を花嫁修業の邪魔だと叱る場面など、当時はそうだったんだろうな、という話がてんこ盛り。
場面場面ではおもしろいのだが、全体を結ぶ縦糸がやや細かったか。関東大震災前夜という舞台設定も、その縦糸の補強にはなっていなかった気がする。そのため、舞台に視線を引きつける力が途切れる瞬間があった。