満足度★★★
舞台となるのは、これといった特徴もない小さな公園。そこを訪れる人々の、さまざまな人生模様が交錯していきます。5日間にわたって起こる複数のエピソードを、時系列を折り重ねて見せるアイデア、つかの間の逗留の場や通路としてこの公園を訪れる人々とそこにこだわり清掃を続ける女性の存在を対置させた構造など、作家の企み、意欲を感じる舞台でした。
隣接するアパートの価値を高めるため清掃に励む女、いつまでも子供の頃のように友人を助けたい万引き癖のある男など、出てくる人々の造形は、ユニークでありつつ、それぞれに生きにくさや世の不条理を写し取ってもいます。独立して見えるエピソードが少しずつ関連を持っていることも興味を引きましたが、いずれも対象から距離をとった描き方のせいなのか、グッと引き込まれるというまでには至らず……。種明かし的になる必要も、ことさらエモーショナルになる必要もないですが、もう少し、話の展開以上の会話の奥行き、ドラマを楽しみたかったとも思います。