流れる 公演情報 劇団あはひ「流れる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    観た。

    ネタバレBOX

    現代口語でやりとりする松尾芭蕉と曽良。しかし、それがパロディとして漫画的に描かれるのではなく、リアルな人として立ち現れていた。書かれた言葉からはこぼれ落ちてしまう、ノイズまみれの歴史上の出来事。仮に芭蕉の生きた時代にカメラがあったら、こんな風に芭蕉は喋ったのではないか、という感触があった。あるいは江戸時代がその後終わっていなかったとしたら、21世紀はこんな風景だったのかもしれない。可能世界は単なる思考実験ではなく実在することが、演劇であるからこそ証明されたと思った。
    母親を探す息子、なぜ父親を探さないのだろう、というところに個人的には強く興味がひかれた。名もなき母親と、著名な科学者。おそらくふたりが行方不明になったとき、世間には父親の行方に関する情報・噂などは多く流通するだろう。が、名もなき母親は煙のようにあとを残さず、その行方を追うことは困難だろう。だからこそ、子の母を思う気持ちの強さが感じられる。そして逆説的に、父親の存在が煙のような軽さに転換してしまう。それゆえ、父は母のような格好をしていたのではないか? あまりに軽い父は、髪を伸ばして母のような外観を纏うことでようやく息子のことを語れたのではないか?

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    2019/06/10 11:13

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