ジャガーの眼 公演情報 劇団唐組「ジャガーの眼」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    全三幕。各40分×3と休憩10分×2で2時間20分。
    サンダルその物を探偵事務所にしている一人の探偵。車椅子に乗せた等身大の蝋人形と共に現れる前の事務所の社長。ずっと肘を曲げ腕を宙に浮かせている蝋人形は仮面を外すと月船さららさん。その蝋人形、サラマンダと探偵はかつての恋仲とのこと。亡き恋人の移植された角膜を追う死者の女。その角膜を移植された若い男と恋人。死にかけた野犬の心臓を自らのものと交換しようとする少年(唐さんの娘、大鶴美仁音さん好演)。こうして登場人物を挙げるだけで頭がくらくらする。一人一人がジョージ秋山の漫画並みにキャラが立ち、完全にイカれた妄想狂のくんずほぐれつの取っ組み合い。人外『アベンジャーズ』のルールなき論争戦バトルロイヤル。とは言え不思議なことに最後まで観てしまうと叙情的な一篇の詩を聴いたような余韻を感じてしまう作劇。人に何かを伝えることの摩訶不思議。
    劇中歌『死ぬのはみな他人、愛するのもみな他人』。自分と他人しかいない世界で何を求めて彷徨うのか?

    ネタバレBOX

    第一幕は余り跳ねない。登場人物の紹介といった感じ。第二幕になると、キチガイ臓器移植医師、Dr.弁の登場で沸きに沸く。WWEのロイヤル・ランブルと同じで魅力的なファイターがリングに上がると観客の好奇心が刺激され興奮と熱気、否応なしに盛り上がる。月船さららさん演じる蝋人形サラマンダの存在の強いこと。第三幕は全ての話がなかったことのように一体何を観せられていたのかと訝しがる。話はあって無いようなもので、探偵が売った自分の右目の角膜の行方を見守るというだけなのに。
    月船さららさん見事なり。『からくりサーカス』のフランシーヌを思わせる美しさ。ラストの皆が舞台外に旅立って行くのを手を震わせて見送るしかない人形の無念さがリアル。唐十郎氏の台本と取っ組み合っている感じが最高。そういう役者にこそ観客はゾクゾクしてしまうもの。これぞプロである。

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    2019/05/27 20:24

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