『DZIADY 祖霊祭』 公演情報 シアターX(カイ)「『DZIADY 祖霊祭』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    シアターXによる「レパートリー・シアター」を始めとする主催公演(入場料1000円)の海外招待公演を初めて観た。グロトフスキ研究所との共作で、日本人2名(能シテ役+囃子方)も参加し、彼の国の芸術界の巨人であるらしい人物の詩をベースにした出し物。ロビーでの楽器演奏に始まって観客共々場内へ、日常から舞台へのフラットな移動(開演後はいつの間にか舞台部分がセリ上がっている)。音楽演奏の時間的比重は大きく、「芝居」部分でも背後で音が鳴り、出し物全体が「儀式」として提示されている事は推察された。
    が、何にせよ残念なのは、言語が判らない。「演劇」を見たい観客にとっては歌詞の分からない音楽を聴く時間を経て、「演劇」に餓えた舌にそれを滴らせて欲しいのだが、音楽、歌や踊りの合間に辛うじて「演劇」要素が挟まれるも、モノローグ主体で短く、しかも伝えたいのは発語者の身体状態(感情)よりは言葉の内容であるらしく、そうなると言語が判らないのは中々つらい時間であった。せめてパンフを事前に渡すか(パンフは退出時に渡していた)、何らかの手引きを用意するかがあって良かった(場面の小見出し的なものがプロジェクターで表示されるが、ヒントになるにはもう一つである)。
    人で溢れた終演後のロビーの一角で、日本人出演者と彼を取り巻く人との会話を漏れ聞いた所では、準備時間は殆どなく出演者の顔合わせ日(恐らく当日)に大まかな流れを決めただけで本番を迎えたとか。
    破格の料金での公演では当り外れもあろうし今回はやや厳しい観劇となったが、こうした招待公演を毎年継続的に打っている事には舌を巻く。いい具合に成果を上げながら続いて欲しいものだ。

    ネタバレBOX

    今年はポーランドと日本の国交樹立百年だという。100年前と言えば日本では大衆文化やジャーナリズムが花開いた大正期。やがてナチスドイツと手を取り合い、ポーランドは1939年ドイツの侵攻を受ける。終戦後はソ連の覇権の下に敷かれた約半世紀。
    他国を侵略した経験のない国(民族)と経験のある国(民族)との精神性の違いに、私は思いを馳せる事があるが、その契機は韓国朝鮮人の存在であり、類似の民族として思い浮かべるのがユダヤとポーランドだ。
    であるので、舞台に立つ彼らが舞台上で他者とどう関係し、観客とどう関係しようとしているか、演劇のどういう機能を踏まえて舞台に立つのか・・そんな事をいつしか読み取ろうとしていたが、やはりよく判らなかったのは上記の如し。
    演劇に限らず芸術作品はそれを生んだ時代や状況、場所や国などの文脈に規定されないものはなく、演劇の感動・興奮の大前提である共感とは、この文脈の共有に発する。他国の芸術との接触にはまずこの問題がある。演出家として国際的に知られたグロトフスキの研究実践がポーランドにある事を知ったが、再び彼国の演劇に触れる機会はあるのか知らん。

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    2019/05/27 01:15

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