満足度★★★★
ドン・ジョヴァンニとツェルリーナの誘惑の二重唱から、ソプラノのアリア、地獄落ちの迫力ある音楽まで、間然することのないよい舞台だった。聞かせ処の曲曲を聞くという点では、コンサートのように考えると良いかも。タイトルロールがソプラノでもテノールでもなく、バスというところがこの作品のユニークなところ。そこいくと、テノールのオッタービオの歌は優等生的な愛の歌でつまらないな~と思ったのだが、それは素人の浅はかさ。テノール歌手の出来は最高だったらしく、カーテンコールではテノールのガテルが一番拍手が大きかった。
また、その伝でいえば、筆頭ソプラノのドンナ・アンナよりも、二番手のはずのドンナ・エルヴィーラに女心の複雑さと奥深さを魅力的に感じた。捨てられても捨てられてもドン・ジョヴァンニへの愛を大切に持ち続け、最後もジョヴァンニを救うために駆け付けるのは、行動的で、ただの馬鹿な女とは言えない。