月の見える場所 公演情報 シアターノーチラス「月の見える場所」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    バランス…
    短編4本の上演ということで、相互がどういうコンセプトで影響し合い高めあっているのかに注目しましたが…その点は、「月の見える場所」というタイトルと、月が三日月から満月へと満ちてゆく唯一の背景セットという、いわば外的な点に委ねてしまっている感があり、少なくとも一度観ただけでは内容からは総体的なメッセージが読み取りきれませんでした。
    独立したものとして観れば面白いものもありましたが、観劇前の期待(勝手ですが)とはズレがあったのが残念です。

    ネタバレBOX

    一本目。
    姉と弟のキャラと役者さんのイメージがいまひとつ合っていない印象で…弟の「やり場のない気持ち」に添えなかった。
    四本のなかで、会話が一番セリフセリフしていた…こんなふうに裏にイミを含みまくった会話をしている姉弟が現実にいるようには、とても思えない。

    二本目。
    登場する二人のやりとりの呼吸が合っていて、流れは面白かった。が、割と早い段階でオチ(女性の現実)が見えてしまい、衝撃にはいたらなかったのが残念。もうひと工夫欲しかった。

    三本目。
    「庭」というタイトルの意味がわからなかった。
    四本の中で唯一女性キャストのみの作品で、個性の違いは面白かったが、感情のベクトルの強さに温度差がある印象で、稽古段階でもっと行き着けるところまでつめて欲しい感あり。
    ラスト、亡くなったのがどちらかを示さなかったのは意図的だとは思うが、作品として効果的かは疑問に思う。事実を踏まえて、娘たちがそれぞれその後をどう生きていくのかを観客に想像させる方向性が欲しかった。

    四本目。
    「ソラミルチミル」というタイトルの語感や視覚的なイメージに個性が感じられ、内容的にもファンタジックで。都会の一隅に生きる不器用な人々が抱える孤独と、それでも誰かに支えられ誰かを支えることができる小さな出会い…好みです。
    流れもスムーズで会話も自然で、これが一番良かった!

    総体的に観て、この作・演出者の個性が生きるのは、四本目のようなタイプの作品だと思いました。
    長編一本の上演に比べ、短編四本を並べて上演することは、単純な×4ではない大変さがあると思いますが、試みとしてとても面白いし、今後の作品にも注目させていただきます。

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    2009/04/06 14:54

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