良い子はみんなご褒美がもらえる 公演情報 パルコ・プロデュース「良い子はみんなご褒美がもらえる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    演劇を見たというより、コンサートに行ったという感じの舞台だった。音楽は、不安と憂鬱の現代音楽、オーケストラを認められた喜びの曲、大佐の登場に合わせた滑稽なほど大げさで荘厳な祝典曲、など意外とバラエティーのある音楽だった。それぞれに劇の内容を観客に伝える大きな役割を音楽が持っていた。

    ただ台本は少々抽象的すぎて、ぴんと来ない。70年代のソ連での自由はく奪が、今の日本にどれだけ意味があるのか。もちろん大事な問題だと頭ではわかるのだが、体と心がついていかなかった。

    ネタバレBOX

    最後に、二人は大佐の勘違い(機転?)によって釈放される。政治犯のアレクサンドルが、楽器は何もできないんだと劇の始まりでは言っていたのに、最後に、オーケストラの指揮台に昇って、タクトを振る。そして調和の和音をオーケストラが奏でて大団円(ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」のように)となる。

    冒頭の「楽器は出来ない」という発言を、「音楽は出来ない」ととると、自らに枠・限界を設けていた最初の状態から、その枠を破って精神の自由を得たラストととる事も出来る。
    作者は当時のソ連批判を強く意識して書いたらしいから、私の解釈が作者の意図と沿うのかどうかはわからない。ソ連的統制社会はそのままでも、考え方次第で自由は得られるとなってしまうから。

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    2019/05/06 23:41

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