ニュータウンの影 公演情報 俺は見た「ニュータウンの影」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ニュータウンは2つの場所を意味するようだ。それが仙台-東京(多摩ニュータウン)であり、2か所または3か所を映画のカットバックのようにして描く。そして影とはもちろん人を指すが、自分のこと、家族のこと、そして第三者という色々な観点から描き出す。優しき隣人が実は狂気を…そんな緊張感ある公演は観応えがあった。
    (上演時間1時間45分)

    ネタバレBOX

    セットは、この家族・一戸家のダイニングと居間がメインで、上手後方奥(2階)には、この家族と因縁のある男のアパート。下手客席寄りに、一色家の長男が暮らす東京のアパートをイメージさせる空間、そして舞台と客席の間は街路のようだ。この舞台には音響効果がない(アフタートークで説明)ため、居間にTV、長男が住んでいる部屋にもTVがあり、ときどき野球中継などを映し音を流し込む。ダイニングには食器棚(小物も収納されている)、テーブル等が置かれ雰囲気作りは上手いが…。

    この公演、俚言で演技しているにも関わらず、生活感が伴わないのが不思議なところ。食卓を囲んだ食事や歓迎シーンは一家団欒をイメージするところだが、この家族にはそれぞれ思惑がり、本音で語り合えていない。仙台という土地柄のせいだけではなく、封建的な父親-自分が気に食わないことがあれば殴る。それにじっと耐えてきた母親、長男は東京で定職にも就かずモデルと称して年上の女の部屋に居候し金をせびるヒモのような生活。妹は外国人と付き合い、いずれアメリカで生活したいと思っている。弟は地元優良企業に就職したが、スターになりたい夢を諦め切れず、会社を辞めて出勤のふりをして街中をブラブラしている。日々をなんとかやり過ごしていたが、ある日それぞれが抱えていた鬱積が爆発し一気に家族崩壊へ向かう。

    この地から出て自由なことをしたい、その根底にはその地方の閉鎖性、家庭内での暴力による押さえ付け(封建制)から解放されたいという思いの表れであろう。弟は長男が家を出て東京で暮らしているという嫉妬、羨望を抱く。妹は恋人が外国人(中東=イスラム過激派という印象⇒家族・本人もアメリカへ移住したが苛めにあう理不尽)ということでの偏見に悩む、子の気持ちを理解しない父、訳ありに子供に金を無心する母、それぞれの心の傷のようなものをしっかり描く。
    この家族に長男の同棲相手や妹の恋人が絡み、夢と焦燥、差別と偏見といった「人間」と「社会」の問題を浮き彫りにしていく。一人ひとりの心の襞を撫でるような丁寧な描写は上手い。そして東京から来た謎の男が仕掛ける悪意が家族を崩壊させていく展開へうまく繋ぐ。

    脚本は面白いが、演出と演技に弱い所があるように感じた。例えば、食卓は生活空間を表す重要な場面であるが、食器棚の小物を使用せずただ飾っているだけ。だから”生活感”というリアリティが感じられない。また家族(特にラストの母親の独白は圧巻)や謎の男の存在感は出ているが、ストーカー行為における加害者・被害者の関わりは、謎の男の狂気を引き出すため?もしくはラストの清算に向けた伏線であろうか。この演出と演技が弱いようで残念に思えた。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2019/04/27 23:11

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