Pancetta 9th performance “Plant” 公演情報 PANCETTA「Pancetta 9th performance “Plant”」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    第9回せんがわ劇場演劇コンクール・オーディエンス賞受賞公演。昨年のコンクールを観ており、その時と違って公演時間は長く(2作品=受賞作品“Parsley”と昨年外部公演にて披露した“Hana”を新たなバージョンにし、本公演のタイトル“Plant”に)なり何となく伸び伸びと演じているように思う。やはりコンクールは制限時間の中で演じるという緊張感が漂うが、逆に開放感というか自由度が感じられない。コンクール形式または本公演であっても、シュールな印象は同じ。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    基本は素舞台であるが、中央に四角い穴があり出入りにも使用する。この穴は地中をイメージさせるものであり、そこに”hana"がある。花が咲くまで”華”がないと嘆いているが、その開花するまでの悶々とした思いを描く。登場人物ならぬ5つの花びらは、中央の穴から上半身を出し次々と咲いては枯れていく。枯れると分かっているのに何故咲くのか?役者の咲き枯れの歓喜と落胆の表現が実に上手い。人は生まれた時から死に向かって歩みだす、まさに生まれ出ずる悩みであり、生きていく中での哀歓が描かれているようだ。

    鶴の恩返しのような民話の筋書き...それは見ないこと→無関心を意味するような。もう一つの筋書きは合理的な考えの彼女との付き合い→無駄の排除を表す。この2つの筋書きが絡んだ物語は、どちらにも何となく潤いがなく味気ない。この感覚から”華”がない、可愛げがない=合理的とこじつけると納得できるような流れである。
    役者のコミカルな動作、豊かな表情は観る者の気を逸らさない。素舞台だけに個々人の演技力とバランスの良さが印象付けられる。

    この公演回は、就学前の子供の入場も可であった。敢えてこの回を申し込んでみたが、幼児の声や動き回る気配はするが、それでも芝居は楽しめた。舞台と客席の間にマットを敷き、父母と幼児が座って観られる。マットだから多少動き回っても音は気にならず、子供の自由を奪わない。そして暗転時も真っ暗にすることなく薄暗がりにし子供が怖がらないような配慮をする。なにより前説で脚本・演出の一宮周平氏が「子供が騒ぐのは当たり前、その声は音響の一部と思ってほしい」と...このような姿勢が、子育て中の方にも演劇を楽しんでもらえる機会を作るのだと感心した(子供の声が気になる人は別の回を観るだろう)。
    次回の本公演も楽しみにしております。

    0

    2019/04/22 18:07

    2

    0

このページのQRコードです。

拡大