三人の姉妹たち 公演情報 タテヨコ企画「三人の姉妹たち」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    作・演出の劇団主宰者の横田修が舞台制作中に入院し、演出は劇団員が引き継いだ、と当日パンフにあったので、さぞ、舞台裏は落ち着かなかったと思う。
    チェーホフへのオマージュの三人姉妹の物語と振られると、原芝居が好きな私のような客は、重ねたわけではない、と言われてもどうしても重ねる。幕開きが、記念日(命日)である、とか、不慮の火事があるとか、主要な登場人物が決斗で死ぬ(こちらは不慮の飛行機事故)とか、軸になる個別の事件が原作からとってはある。しかし、原作の、モスクワからは幾千里、軍隊が駐在する田舎町の三姉妹が、精神的に都に憧れながらも鄙の生活に埋もれていき、「それでも生きていかなければ」という、時代の流れと人間の運命を描く肝心のテーマは、村の農家の三姉妹の日常に置き換えられて、迫ってこない。ことに農村で十二年も時がたつ、のは原作の設定と違いすぎる。事件も、テーマも、部分的に台詞も、思わせぶりにとるだけで、重ねないのなら、なにもチェーホフを持ち出すことはないじゃないか、と思ってしまう。転換の幕間のロシア語の歌など完全に浮いている。
    チェーホフ抜きで、地方の農家の三姉妹の物語、としたのではモチーフにならないのだろうか。小さな舞台ながら細かく行き届く配慮があるのが特徴の劇団なのだから、有名作品によりかからないで、日本の現代農村劇を作る気概が欲しかった。自然回帰とか言われ出し農村が注目されている今、あまり芝居が扱ってこなかったテーマとしても面白いのに。
    主宰者の不慮の不参加でさまざまなところがが行き届いていないのは残念だった。

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    2019/03/19 23:24

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