満足度★★★★
すごいものを見た。とくに後半、玉手=お辻のが実家に帰ってから後は、全く緩む所のない、圧巻の舞台だった。他の人も書いているが、玉手役の内田慈の妖気まじりの一途な自己犠牲の迫力はすごかった。てがみ座の「海越えの花たち」にも出ていたそうだが、全然別人で、その演技の幅にも驚いた。
「合邦が辻」は他に見たことないのだが、現代語も交えてわかりやすい脚色。玉手の執念の一事に焦点を当ててまとめたところがいい。幼時の父と娘の幸福な日々の回想などは、上演台本で補筆したものと思うが、少し舞台の気迫を削ぎかねないところを、帰って情愛の深さ・広さを実感させるものになっていた。
木ノ下歌舞伎も演出の糸井氏も注目すべき才能である。
休憩なし2時間15分