満足度★★★
鑑賞日2019/03/15 (金)
大塚萬劇場にて劇団たいしゅう小説家『殺してゴメンネ』を観劇。
数年前から名前は聞いたことがあったものの、未見のままであった劇団さん。今回初めて拝見させて頂きましたが、舞台セットの緻密さや登場人物のキャラクター設定、それを演じる役者さんの演技力の高さなど好感を抱いた部分がある一方で、フライヤーやあらすじに多用されていた“昭和”という部分には疑問を感じざるを得ない内容の作品に感じました。火災の跡地?を舞台に繰り広げられる夢を持った若者達と謎めいた一人の男による少しミステリアスな物語。コメディーというほどのコメディー要素は無く、むしろシリアスで不気味な要素を多く含む不思議な作品で、推理小説を読んでいるかのような感覚になった作品でした。
オープニングの昭和歌謡や物語の中に登場する集団就職の女子グループ、聖徳太子のお札、そして何より人と人との密な関わりなどに昭和らしい雰囲気が描かれていたのかもしれませんが、個人的な感想としては残念ながら伝わりにくい。なのでサブタイトルにある「昭和46 1971」という表記と実際の作品との時代設定がいまいちリンクせず、何となくモヤモヤした気分になりながらストーリーが進行していったような気がします。殺しを企てる場面におけるヒソヒソ話ではなく大声での会話、伏線回収が少なく点と点が結び付きにくい展開などやや物足りなさも感じました。但し、殺人犯なのか何者なのかわからない一人の男をめぐる騒動は面白く、どんな展開が待っているのだろうとワクワクしながら楽しめたのも事実であり、結果的には観劇出来て良かったと思える作品でした。今のようにインターネットの世界が存在していなかった時代。何かと不便な生活ではあったと思いますが、人情味溢れる何か大切なものが確実に存在していたような気がします。やはり昭和も平成もそれぞれに魅力があるなと感じました。
役者さんも全員が初見でしたが、特に村川翔一さん、白石裕規さん、高橋浩二朗さんの男性キャスト3人の好演が印象に残りました。中でも高橋さんの不気味且つ良い人キャラのお芝居には引き付けられました。女性キャストでは八城まゆさんのお嬢様キャラぶり?が良かったです。