満足度★★★
人嫌いの24歳の青年、借金の型に派遣会社が用意したアパートに住み、工事現場で働くことに。8畳間に5つのベッド、部屋内カーストですさんだ人間関係。行政書士を目指していた彼もいつしかすっかり周りに染まり、住人は徐々に体と心を蝕まれていく…。
昔の話ならヤクザに監視された現場で過酷な労働と容赦ない暴力というタコ部屋が定番だが、恐ろしいものの別世界の出来事である。この作品では普通の街の中で女性の管理人がときどき様子を見に来るだけで外出も自由という設定。外部からの攻撃がないので平和かというと今度は仲間同士がいがみ合うことになる。自分も何かの拍子に落ちてしまいそうという現実味を感じた。ただし仕立ては「怖いもの見たさのエンターテインメント」であって社会派的な香りは薄い。24歳の青年がどうなるかと思っていたら、この世界にどっぷりと浸かって行くのかと想像させるだけでとくに何かが起こるわけではなかった。