満足度★★★★
鑑賞日2019/02/10 (日) 13:30
座席1階E列29番
昨年、新国立で鵜山仁演出で上演された「ヘンリー五世」。今回の吉田演出では、同じ作品とは思えないスペクタクルに仕上がった。大掛かりなセットを駆使した、殺陣の応酬は見ごたえあり、かつ松坂桃李の舞台役者としての可能性を大きく開いた点では称賛に価すると思う。コーラスの吉田鋼太郎が、観客の想像を求める口上を連ねるが、その心配には及ばない。
しかし、一方で個々の重要なエピソードが浮いた感があり、作品として伝えようとするところがよく見えなかっったのも事実。ラストのキャサリンへのヘンリー五世の求愛と、イギリスとフランスとの和平のシーンは、取って付けたようで、どうも冗長、悪趣味の感もある。むしろ、ここまで脚本を改変する勇気があるのなら、もっとラストもバッサリとやってくれてもよかった気がする。だって、劇中キャサリンの役どころは、ほとんど宙に浮いた感じが否めない扱いなのだから。
終盤の河内大和の葱に関するやりとりも、ちょっとしつこい。