満足度★★★★
簡素なセットにスピーディーな展開。
出口のない海で好演されていた塩谷瞬さん、初舞台の片瀬那奈さん、準主役のおふたり良かったです。久々に舞台で泣き入りそうでした。ちなみに今日は某カテゴリーのトップ俳優、加藤鷹さんもご来場。カーテンコールで挨拶してました。何故かは舞台観て貰えれば分かります。笑。
学生運動をストーリーの軸に、過去、そのまた過去、そして現在を渡り歩く。学生運動といえば、村上龍さんの「69」を思い出すけど、当然、僕が高校の頃にあるはずもない。ただ早稲田大学には、その残党がいた。多分、今もいると思う。そして僕が3年生の時に、彼らの巣窟だった学生会館が建替えのため壊されたのだが、それを阻止しようとした学生会館のグループは、その何十年前に起こったようなドンパチを実際に起こしたのだ。機動隊も出動した。現場に居合わせた僕は、戦闘で様変わりしてしまった風景、辺りに漂う彼らの昂揚感のようなものが忘れられない。
しかし、彼らには主体性が感じられなかった。少なくとも僕には。ロケット花火を飛ばしながらイベントのように、それを楽しんでいるような彼らに嫌気すら感じていた。そもそも普段の活動内容も全く興味が無かったし、エキセントリックな街頭演説にも、かなりひいていた。完全に危ない人たちというレッテルを貼っていた。
でも今日の舞台を観て、それを反省した。耳を傾けることさえしなかった自分を恥じた。もちろん、信念もなくやっていた人もいるだろう。でも、純粋に主体的に活動していたかもしれない人たちのことを、僕は出演者に重ねていた。
僕は主体性のない高校生だった。学生運動のトラブルで学んだ国の教育プログラム。その申し子のような気がする。歯車では生きていけなくなった時代に、さらに歯車としての教育を受けた自分たち。嘆いてもしょうがない。革命が必要だ。