ショウジョジゴク 公演情報 日本のラジオ「ショウジョジゴク」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    「新青年」な幻想怪奇との接点は二昔も前、青林堂の漫画。小説は殆ど読まず夢野久作の「少女地獄」「ドグラマグラ」も本棚に飾ったまま。「ドグラ・・」は映画と舞台で、「少女地獄」は今回初めてストーリーを知った。
    知ったと言っても、今回の舞台はストーリーがくっきりと浮かび上がる仕様でなく、謎めいたバスの運転手と女車掌、女子学校の生徒らと男教師、ある看護師と医師の逸話がそれぞれあって、時々接点を持つ形。開幕、小さな四角の舞台の四隅に白衣の女性が座り、客を患者に見立てた前説を思わせぶりな口調で斉唱する。男は医師、バス運転手、学校教師と役は固定、女優陣も車掌、看護師、学生と固定の役で、場面が変れば女優は椅子に着いたり離れたり、男優は袖から出入りをするので、別個のエピソードが並行していると理解される。特にバス運転手の逸話は独立していて、時々他のエピソードの人物がバスに乗って来る形の絡ませ方だ。
    怪奇の体験者(=語り手)と、その観察対象となる怪しい人物の存在という構図に加え、各エピソードをぼんやり程度、間接的に知る者として別エピソードの人物が配されている格好なのだが、演者の雰囲気や場面に幻想怪奇の風味があって心地よいものの、ストーリー自体は薄味に終わる感がある。後で調べると小説は独立した三つの短編から成るらしく、物語全体を語り切るのでなくそのテイストを摘出して舞台に上げて見せたという事のようである。
    幻想怪奇譚は「謎」が解かれるオチへ辿り着くことは大事だが、実際はオチはあっても怪奇は残り、オチはさほど重要でないという事も。原作を未読で何とも言えないが、今回、結末よりその世界観、即ち怪奇な場面・風情に重きを置いたとすれば、医師と看護婦、学生と教師の逸話のほうに「異常」な観察対象を観客も目で見る愉しさ、「異常さ」の片鱗が見えるか見えないかというスリリングさがあり、その線を追及するのも良かったのでは・・とも思う。無責任な意見だが。

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    2019/01/27 10:02

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