カモナマイハウス 公演情報 てんぷくプロ「カモナマイハウス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2018/11/29 (木)

    とある家で… とある兄弟を取り巻く奇妙な住人達。彼らは一日千秋の如く同じ芝居の稽古(?)を繰り返す… そんな不条理な世界の背景が徐々に明かされ、有機的に繋がって… 遂には兄弟の半生の内面まで克明に映し出していく。それが面白可笑しく演出される。

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    ネタバレBOX

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    幼少時から物語を作って遊んできた空想癖のある兄弟。生み出されたキャラ達は、兄弟の想像力ゆえか… なんとこの家で具現化され… しかもボツになって作品として世に出れないと…この家に留まり未完の物語を紡ぎ続ける… 弟が作家になった今もなお。

    一種の無間地獄地獄だが、当の本人達はとても楽しげ。
    まるで地縛霊のように姿を現し、舞台の人口過密甚だしいのに… 兄弟には見えても来訪者には見えないという設定も楽しい。目の前にあるものに反応しない芝居って、結構、難しいんじゃないかな。…謎の金星人、妖怪爺、自由奔放な母と奇妙な愛人達、厳格な叔母、等々 … そして新入りの花嫁と仲の悪いその妹… 様々なキャラ達は実在の人物をモデルにしたようでいて、どこかぶっ飛んでいて、古参のキャラほどマンガ染みているのも後々意味を成す。

    結局、各々のキャラの成り立ち… その性格の演出のロジックに、同一人物に対する「兄弟の異なる視点と想い」が隠されているのが面白く、キャラの謎が一人一人解き明かされるごとに、兄弟の半生が肉付けされていくというシナリオがとても味わいがある。そして、とても恵まれているとは言えない「兄弟の生い立ち」を…複雑に組み合わせて具現化した異形の者達が、いつしか互いを「家族」と呼ぶのがとても心地良い。

    弟の押し掛け婚約者の若い娘に… その異形の姿が見えるようになる瞬間が大好きです。娘が率直な気持ちを表し、兄弟が娘の気持ちを受け容れた瞬間… 彼女は「家族」となった。
    その感動から一転、家を埋め尽くすキャラ達を目の当たりにして…滑稽に狼狽しながらも…娘が一人一人着実に受け容れていく過程が可笑しいやら心を打つやら。

    そして最後…弟が娘を受け容れて吹っ切れたのか…娘がモデルのキャラ「花嫁」が、作品となってこの家を旅立つ(嫁ぐ?)ことになる。
    その最後の最後… 別れの演出が、七ツ寺屈指の大仕掛けで、大団円を醸す。切なさの中に幸せを感じさせました… くうっ。

    本作 家族が主題ゆえ、全ての登場人物に魅力が満載。特に…

    押し掛け女房ハルミ…普段なら男前を演じる きくちまや さんが、気丈さの中にえらい可愛いさを内包させるギャップ萌え。パジャマと巨大ヌイグルミな。えっ? 私物?

    金星人ミズシオさんも、超異質な出で立ちに…あざといぐらいの幼児的な愛らしさ…そして万事がやけにそそっかしいなぁ…と訝しんでいたら、役が「5才児がモデル」と話の中で明かされて、納得のはっちゃけぶりでした。くワズのあの役と同じ人とは思えん。

    おにぎりばくばく丸さん、変わらずの存在感も外せない。
    シンガーなのに歌おうとすると止められる前半が楽しかった。てっきり、歌うと「ボェ〜〜ェ」ってなるのかと思ってた(笑)
    芝居中でも…一際豪快にカルボナーラを啜る音が流石でした。

    役者お久し振りの花嫁 原みなほさんも1年分堪能。お姿、眩しかったよ〜。お得意の小道具達も第2の役者と言える至宝。あのカルボナーラは七ツ寺にまた新たな伝説を生んだ。帰り道、腹減ってしょうがなかった、勘弁してほしい(笑)

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    2019/01/03 19:36

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