あの日から、明日へ「イーハトーヴの雪」「前夜」 公演情報 Gin’s Bar+アクターズ仙台「あの日から、明日へ「イーハトーヴの雪」「前夜」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2018/09/30 (日)

    短編2作「イーハトーヴの雪」「前夜」による構成。

    ただ、それのみならず…幕前、幕間に演奏されるオカリナが、ホールの音響効果も相俟って大変叙情的に響く… まさしくホール内に響き渡り、2作を1つに結び付けた。以下、作品毎の感想をネタバレBOXへ

    ネタバレBOX

    「イーハトーヴの雪」

    本作を観るのは大阪、名古屋に続き3度目。
    津波に呑まれた妹の亡骸を探して遺体安置所を廻る男が、この日も…結局、妹ではなかった亡骸に語り掛ける。
    内容を知っていてなお…切実に…ひそやかに沁み入ってくる空気。音と光と…そして線香の香りからも浸透してくる切なさ。亡骸に対して男が掛ける言葉も、同じ土地で苦難を共にした者への礼節と慈愛に満ちて、方言故か…より人懐っこく響く。

    なんでなんだろう…ほぼ全編にわたって非常に落ち着いた、穏やかなテンションだからかな。…既に涙は枯れ切って感覚も麻痺している… それでも…いや、それ故に…心の中に留まった大事な想いが伝わってくる感じ。彼にとって、この行為はしっかり根付いた生活の一部であり、亡骸に振る舞うお裾分けから…何となく生命の力強さを感じることもできる。

    …その穏やかなペースの中で、たった一度だけ大きく響かせた「景色そのものの喪失」に対する言葉が… 眼前に広がる空虚の響きを再現していて、穏やかさの裏にある激情を…一瞬だけ垣間見せました。
    そして、忘れないための努力… 背景は異なれど共感あり。


    「前夜」

    結婚前夜と思しき男女。しかし何故か女性は相手を兄と呼び…微妙な関係性を窺わせる。幸せが控えているのに…和やかな会話を交わしているのに…漂う微かな緊張感とミステリー感に惹き込まれる。 そして、徐々にその背景が明かされていく。…物語には…二重の仕掛けも隠されていて…終盤の「数」の不一致による予兆から徐々に膨らむ盛り上がりがとても利いていました。明かされた事実は… とても切ないけど、2人はそれを呑み込んで、そこからまた一歩を踏み出す。じんわり心地良く涙できる後味でした。

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    2019/01/03 17:19

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