舞台『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』 公演情報 トライフルエンターテインメント「舞台『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    プリンス オブ ストライド THE LIVE STAGE
    作品全体を通して、これだけは書き残しておきたい5つのこと

    ★私の推しが最高に良い仕事してる

    最初に最大の結論を言ってしまいます(笑)。

    そもそもね、アンタの推しって誰なの?って思われるくらい360度全方向に愛を叫びまくっていますが、
    私の推しは「松崎史也」です。プリステの演出家です。1ミリたりとも走ってないし、1秒たりとも舞台上に立ちません。
    だけど、Ep1~5のステージの全ての瞬間に彼の愛があったんです。どのシーン切り取っても愛しかなかった。
    史也さんの演出とパルクール指導・演出のHAYATEさんのタッグが無かったら、プリステはこんなに魅力的な作品にならなかったと思う。

    4部作の製作が発表された当初の私は、原作も未知で、まだ2.5次元作品に対して心理的なハードルがあったので、Ep1は1公演しかチケット取らなかったんだよね。
    そして、オープニングシーンで全員が劇場を駆け回るのを見て、号泣した。
    これは絶対にいい公演になる、最高の作品になる!って、オープニングシーンだけで確信した。もちろん本編も良かった。
    結局都合付かなくてEp1はその1回だけしか見られなくて、ものすごく勿体無いことをしたと思ってる。

    やっぱり推しの仕事はどんな形であれ、追わないとダメだ。推しが信じた役者を、脚本を、作品を、私も信じよう。
    史也さんが関わった作品で一度たりとも嫌いだと感じた作品なんてなかったんだから。

    脚本が葛木さんだというのもあるのだけれど、物語の中で青春やスポーツについて登場人物に語らせているシーンが、"演劇"について語っているシーンに感じる、
    というのが何度もあって、演出意図として間違いなく重ねているんだと思う。
    どれだけ演劇が好きなんだよ…と、胸が熱くなる。
    そんな人が、企画の立ち上げから約3年の時間を掛けて、愛を注ぎ続けた作品なんだから最高の仕事をしてるのは当然のこと。
    レースだけじゃなく、単なる青春ものじゃなく、物語の良さと役者の良さを最大限に引き出す演出を付けた史也さんは、本当に素敵な演出家だ。


    クジ砂とプリステを経たことで、演出家としての評価はかなり広範囲に知れ渡ったはずなので、この先3年くらいの彼のスケジュールはあっという間に埋まるんじゃないのかな。
    2.5に限らず、引く手あまたになると思う。わー、チケット取るの大変だぁー(遠い目)。
    …それで彼が幸せなら、良いんですけどね。


    ★シールドランナーがすごい、転換がすごい

    舞台上という限られた面積の中で多くの場面を生み出すためには、セットの転換をするしかない。それは演劇の離れられない業。
    可動セットとか、盆が回るとか、映像で美術を変えるとか、いろいろな手法も見てきたけれど、観劇史上一番転換していた作品だろうな。Ep1の時点で。
    ギミック[飛び越えるための大道具]をA地点に置いて5秒後にはその上を役者が駆け抜けて、5秒後にはB地点に向けて動かし始める、そんなことをレースシーンの間に繰り返してるんだから。
    役者が"安全に"決められた演技・レースをするためには、転換した時に位置が正確じゃないといけない。
    置き位置を示すバミリの蓄光テープは床一面に貼られて、転換する本人じゃないと解読できないほど。
    その転換を担うのが『シールドランナー』と呼ばれる、史也さんの懐刀である男子6人。信用してないと、こんなに責任重大なポジション任せられないよ。

    Ep1の時は名称が無くて、Ep2の時に原作の曽我部さんが付けて下さった名前。役者の通るべき道を生み出して守る、素敵な存在だった。
    Episodeが進むごとに、レース転換が増えて、バミリの数が増えて、6人じゃ手に負えなくて演出部も参戦してたね。
    その動きの正確さと素早さだけでも、見る価値のあるものだったな。
    シアター1010の2階席から見ると、暗転時にバミリが星のように光っていてキレイでした。この光景はプリステじゃないと見れないもの。

    シールドランナーはアンサンブルとして登場することもあって、方南の生徒だったり、奈々のおじいちゃんだったり、ちょっとアドリブ要素も含んでる場面もあって楽しかったな。
    みんなありがとう。特に全Episode関わってくれた、賢祐くんと高久くんには、頭上がらないな。

    ものすごくこぼれ話だけど、Ep1の際に津田君にも声が掛かっていたそうな。諸般の事情から受けなかったそうだけど、史也さんが声を掛けてくれていた事実が嬉しかったな。


    ★風!振動!至近距離!

    プリステの勇気のあるところは、客席の通路を縦横無尽に走り回ること。企画段階から譲れない項目だったんじゃないかな、きっと。
    とても効果的で印象的な作品になることは間違いないけれど、リスクも相当大きいから、役者の事務所には嫌がられたと思う。
    役者本人も、不安はかなりあったはず。
    毎公演、開演直前まで客席をスタッフが点検して、荷物が通路にはみ出してないか、携帯電源切ったかどうかを見て回って、徹底してリスクヘッジしてた。
    その甲斐あって、客席を駆け抜ける速さがリアルなものとして目に映って、風とかギミックに飛び乗る振動を、時には香りさえも(!)感じられたのがすごい。

    Ep1の1年近く前からパルクール練習をして、走り込みをして、臨んだから可能だった表現。
    客席降りするのは他の舞台でもたくさんあるけど、あの速度で駆け抜けるのはプリステだからこその表現だったな。


    ★どこの席で観ても魅力的

    一列でも1ミリでも舞台に近い方が、役者の細かな表情まで見えて「良席」であることは否定しない。
    でも、プリステはどの席で観たってその席の良さがあった。
    ギミックが置かれる中通路よりも前は、舞台がとても近い。全編通して迫力があるし、細かなことが知れる。
    中通路よりも少し後ろは、中通路で起きる全てのことがよく見える。
    それよりもさらに後ろになると、舞台上を点ではなく面で捉える事が出来る。面で捉えるっていうのがプリステはすごく贅沢。特にオープニングで全員が駆け回るシーンは顕著。
    シアター1010には2階席があり(大阪は無い)、2階での芝居が近くで観られるし、バミリの星がキレイ。
    そして、前だろうが後ろだろうが通路に面した席。そこは気を抜いてはいけない席。いつの間にか横に役者がスタンバイしているし、レースになれば駆け抜けていく。
    違う席で何度も見たくなるのも仕方のない事だね。


    ★登場人物全員が好きになる

    スポーツの物語であり、対戦であり、試合である以上、避けられないのは勝敗と諍い。勝ち上がるために何をすべきか、どんな手段を取るか、その上で誰が勝ち誰が負けるか。
    それぞれの信念に基づいた行動が一般的には好ましくない態度や言動になったりもするけれど、その人を嫌いになるどころかどんどん好きになる。
    心に迷いが生じない人なんていないから、迷う・立ち止まる・間違う・ふさぎ込むこともあるけれど、その人間臭さが好きになる。
    EP1〜5を通して、誰一人嫌いになんてなれなかった。
    私は原作(プリスト)を通らずに舞台(プリステ)だけを味わった側。多分、プリストのゲームやノベルだと個性の強すぎる登場人物は嫌われていた可能性がある。だけど、生身の人間が演じることで、役者が役を愛して、同化して、それを引き上げる演出がついたから、それが弱まったんだと思う。

    その上で、私は一条館高校が一番好きだった。勝利を掴むことに強い執着を見せるし、クセの塊で、狡猾な手段も厭わない。いわゆる悪役ポジションの学校。最高にゲスいのに、愛おしくて仕方なかったな。6人のメンバーのバランスも絶妙だったなぁ。


    挙げればキリがなくて語り足らないけど、私も先を見ていかないといけないから、無理やりまとめてみた。
    登場人物それぞれに、その関係性ごとに、言及したくなるけどね。それは機会があれば。
    だって、まだ彼らは走り続けているから。

    キャスト・スタッフ・観客、関わる人みんなが、こんなに長く大切にし続けた物語に出会えて幸せです。

    0

    2018/12/30 11:37

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大