満足度★★★★★
<私=成河、彼=福士誠治>
裕福で聡明な同性愛の男子が自分たちはニーチェの言う超人なのだと思い込み、完全犯罪を計画実行し、破綻していくというストーリー。実際の事件を下敷きにしているが、二人の支配関係はこの作品のオリジナルではないだろうか。ちょっと話がうますぎるような気がした。まあそこもどうにでも解釈できるのだが。芝居としてはおおっと思わせる転換となって気持ちが良い。
二人の俳優とピアノ伴奏によるミュージカルである。セリフの半分は普通であるが、あとの半分がメロディー付きである。こんな言い方をしたのは普通のミュージカルのようなビブラート全開で歌い上げるようなものではなく切々と心情を吐露する儚げなものであるからである。お二人はこの難しい「歌」を丁寧に見事に歌いこなしていた。「普通にしゃべった方が良くね?」というミュージカル嫌いの方にも「まあこれなら良いか」と納得してもらえるのではないだろうか。
会場のシアターウエストはクリスマスイブの夕方だというのに、補助席が出るほどの超満員状態で、その95%は BL 大好きの腐女子の皆さんである。そのあおりで男性は多目的トイレに追いやられ、仕方がないので会場外のトイレに行くと「チケットを持っている人は各シアターのトイレを使え」という掲示があってどうすりゃ良いのよと途方に暮れる(ウソ)。しかし着衣の二人の女性が抱き合ってキスをするのを喜ぶ男子は皆無と思われるがこの違いは何なのだろう。