満足度★★★
冒頭から大音量の衝撃波が襲ってきて、心臓の鼓動が早くなる。
常に漂うただならぬ緊張感。
演出家の加藤拓也さんの過去作品にもあった「嘔吐」などを見せる事による超現実。
また劇場を水浸しにするリアリティと観客にも巻き込まれている様な感覚。
その水を浴び「痒くなる」というシンプルながら、観客にも同様の発作が連鎖しそうな表現は、
相変わらず他の劇団さんなどの作品には類似した作品は無く、
その感覚がクセになって「加藤作品を観たい!」「もっとやってくれ!」という感覚になる事実。
ただし今作に関しては劇場が暗過ぎて、作品にリアリティを求めるのも分かるが、
舞台を観慣れている私にとっても、具体的に「何が起こっているのか」を把握するのが
ところどころで非常に難しかったのが残念。
その結果、役者さん達の細かい表情や演技なども追う事が出来ず、少し漠然としてしまった気がする。
3方向から舞台が観られ、私の観劇回では他の列の最前列にお母さんと小さな女の子の2人組がいたが、
終始、その小さな女の子がお母さんにしがみついてこの惨劇を「目撃」して怯えてたが、
トラウマにならないか、ふと心配になるレベルであった。
心地の悪さ、を極めた作品とも言えるかも知れないが、作品を観ていて心地の良いものではなかったのが事実。
「恐怖を実体験させる」その意味では本作は成功していたと思う。
今後も加藤拓也さんにはこの手の手法を極めていって欲しいと願っているし、
周りの方達にも紹介していきたいと思っている。