エダニク 公演情報 ハイリンド「エダニク」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    男三人の暑苦しいハイテンション会話劇が素晴らしい。
    ドハマリのキャスティングでそれぞれの背景が浮かび上がる。
    ほろにがラストがなかなか素敵で、女じゃこうはいかない。

    ネタバレBOX

    舞台は食肉センターの一室。
    休憩室でもあるこの部屋で、沢村(伊原農)と玄田(有馬自由)が話していると
    そこへ一人の青年が入って来る。
    伊舞(比佐一平)という、ニートだったが最近就職したこの青年は
    実は食肉センターの大手取引先会社の跡取りだった。
    立場がくるくる入れ替わり、強気になったり下手に出たり、
    恫喝まがいになったり懇願したり、3人の男たちは
    次第に自分をさらけ出してぶつかり合う。
    利害の絡む、守るべきものを持つ男たちの闘いの結末は・・・?

    ドンピシャのキャスティングに惹かれて怒涛の台詞について行く感じが心地よい。
    それぞれが守りたいものに固執するあまり、矛盾に気づかない様が面白い。
    そこを相手が容赦なく突いてくると、敵意をむき出しにして突っかかって行くところが
    男のストレートで可愛いところ。
    女ではこうはいかないし、女なら別の描き方をするだろう。
    男3人の芝居の面白さを堪能した。

    差別の歴史を持つ職業にありながら
    絶対的な技術と自信を持って臨む彼らの複雑な誇りが謙虚で清々しい。
    そこへ「命の重み」を持ち込んで「残酷だとは思わないのか」となじる若造が
    次第に尊敬の念を抱き始める、に違いないと思わせるラストが秀逸。
    このあたりの素直さもまた男芝居のたまらなく面白いところ。

    熱量の大きいこの芝居も折り返し地点にさしかかった7公演目。
    台詞もノッて来て、とてもリズムが良かったと思う。
    残念ながら私はiakuの舞台を観ていないが
    どんな役者、どんな演出にも染まり得る素晴らしい脚本だ。
    逆に言えば、「やってみたい」と思わせる台詞満載の本。
    ハイリンド、ぜひまた観たい劇団が増えた。

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    2018/12/12 01:03

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