6月26日 公演情報 FUTURE EMOTION「6月26日」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    戦争という最悪の不条理、転戦する青年2人の現実を通して、その悲惨さが実々に伝わる物語。時間軸は1938年から1951年という13年間に亘る。日本で徴用され朝鮮戦争中までを祖国、家族を想いながら…。その厳しい現実の中に、”生”への執着、友情を通して戦争の愚かしさを描いた珠玉作。
    2016年11月、上野STOREHOUS collection No.8で上演されたらしいが、自分は未見だった。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    韓国江原道出身の2人の悲惨な戦争体験物語。今でも江原道は朝鮮民主主義共和国との軍事境界線を挟んだ行政区画にある。自分は20歳代の時、韓国に研修・視察に行ったことがあり、板門店にも訪れたことがある。その緊張感は今でも忘れられない。

    セット、後景は場所等をイメージさせないためか暗幕で囲い、舞台には左右非対称に高さ、大きさが異なる台座のようなものが置かれ、中央は縦長に空間がある。一見、オセアニア、アメリカの両大陸で真ん中は太平洋かと思っていたが、帰りがけ演出の酒谷一志氏から渓谷をイメージしているとの説明があった。その他に小物として銃(銃口も含め布で覆われ、非戦を印象付けるような)や戦闘ヘルメットを用い戦時中を思わせる。

    梗概は、説明文にあるとおり、日本に徴用された2人のロシア、ドイツ、アメリカの各捕虜体験が、2人の関係性(時に盗用、友情等)の中で描かれる。そして再会したのは自国での朝鮮戦争中だったが…結末は切ない。

    転戦による場所移動は、役者の台詞説明で分かるが、日本、ロシア、ドイツ、アメリカそして自国での朝鮮戦争の情景は曖昧にしている。逆に言えば場所(転戦)は事実であるが、重要なのは戦争そのものの不条理を鋭く批判しているところ。
    同時に、生きるため捕虜になってもその国のために戦う、アイデンティティなど関係ない。根底にあるのは人間としての「生」への執着。

    なお、日本に徴用されるまでの経緯が分からず、又は自分の生い立ち、貧困等の事情があるならば、当時の朝鮮という国の置かれた状況など、そのものを捉えているのではあるまいか。作はチャン・テジュン氏であり、彼らの視点で作られた作品を日本人が観て感じるには正直難しい。表面的な理解に陥りそうで少し怖い気もするが…。

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    2018/11/25 16:56

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