満足度★★★
松本大洋のマンガの舞台化である。原作は1993-4年に「ビッグコミックスピリッツ」に連載されたものだが2006年には劇場アニメになっている。コミックはたった3巻なので簡単に読み通せたが、ヤクザ映画に子供が紛れ込んだようなもので、私はまったく興味が持てなかった。この舞台もマンガの忠実な舞台化で印象は変わらない。逆に言うと原作のファンは大いに楽しめるだろう。
それならなぜ観に行ったのかというと、乃木坂46ではツートップの次に私が推す若月佑美さんが主演だからである。そして彼女は今月一杯で乃木坂を卒業するのである。若月さんは女性らしさが際立つ乃木坂メンバーの中ではボーイッシュな魅力で存在感を示している。また二科展のデザイン部門で連続入選しており、舞台経験も5年を数えることもあってアイドルというよりアーチスト志向の人である。
今回のクロ役は不良やヤクザを半殺しにするという、アイドル卒業に合わせたような振り切った役である。これまでの舞台経験からか演技は不安なところの全くない手慣れたものであった。身体能力もなかなかのものである。原作の飛ぶように跳ねまわるところはどうするのかと思っていたら、舞台の見えないところに飛び降りるだけだった。まあ仕方がないか。
シロ役の三戸なつめさんは独特なオーラを放っていた。脇役陣も良い味を出している。特にTVでもお馴染みの中西良太さんは上手すぎて周りから浮いている気がするくらいだった。舞台装置も原作の雰囲気を良く表していた。
ストーリーを除けば満足度は星4つなのだが、そうもいかないので星3つとなる。
ポスタ-はB2版(728x515)で1,000円。ちょっと高いが厚手の紙なのでまあ許容範囲。